告知義務は、生命保険や医療保険に入るとき、保険会社が告知を求めた事項について事実を伝える義務です。保険法第37条(生命保険)と第66条(医療保険などの傷害疾病定額保険)が定めています。
故意や重大な過失で事実を伝えなかったときは、契約が解除されることがあります。
このページの内容
法律が決めていること
義務の範囲は「保険会社が告知を求めたもの」です。告知書で聞かれた質問に、事実のとおりに答えることが告知義務の中身になります。
| 項目 | 保険法の決まり |
|---|---|
| 解除できる場合 | 故意か重大な過失で事実を告げなかった、または事実と違うことを告げたとき |
| 解除できなくなる時期 | 解除の原因を保険会社が知ってから1か月、または契約から5年たったとき |
| 解除されたあとの給付 | 原則として支払われない。ただし告げなかった事実と関係なく起きた病気などは支払われる |
| 契約者に不利な特約 | 無効 |
たとえば、告げなかった病気とは別の原因で入院した場合です。解除される前に起きた入院で、告げなかった事実に基づかないものなら、給付は支払われます(第59条・第88条)。
期間の数え方の例です。2026年4月に契約した保険なら、法律上の解除の期限は5年後の2031年4月。保険会社が解除の原因を知った日から1か月たった場合も、そこで解除できなくなります。
がんの治療で関わる場面
告知義務が問題になるのは、がんと診断されたあとに新しく保険に入るときや、今の保険を見直すとき。引受基準緩和型の保険の告知項目の例にも、過去5年以内のがんの診察・検査・治療が挙がっています。
生命保険協会のガイドラインでは、募集の資料の記載例として「責任開始日から2年以内」なら解除することがある、と示しています。
2年を過ぎていても、その2年以内に支払いの原因が起きていれば解除されることがある、というのが記載例の続きです。法律の5年とは別の、契約上の説明です。
今の保険を解約して新しい保険に入り直す場合は、新しい契約にも告知義務があります。解除の期間も、新しい契約の責任開始日から数え直しです。
傷病歴がある人は、保険料の割増や特定部位の不担保など、条件付きの引受けになることもあります。
注意すること
解除とは別に、告げなかった内容が特に重大なときは、詐欺を理由に契約を取り消されることがあります。ガイドラインの記載例では、取消しは2年を過ぎてからもありえ、払い込んだ保険料は戻りません。
保険の営業担当者(募集人)や面接士に口頭で話しても、告知したことにはなりません。告知を受け取る権利があるのは、保険会社(告知書)と、会社が指定した医師です。
保険業法第300条は、募集人が「告げなくていい」と勧めることや、事実を告げるのを妨げることを禁じています。こうした勧めがあった場合、保険会社は解除できないとされています(保険法第55条第2項)。
ただし勧めがなくても告げなかったと認められる場合は別です。
告知が不安なら、告知書に書く前に、聞かれている期間(過去5年以内など)と自分の受診歴を照らし合わせておきましょう。