指定代理請求は、民間の保険で、入院給付金などの受取人である被保険者本人が請求できない特別な事情があるときに、契約者があらかじめ指定した人が代わりに請求できる仕組みです。
一般に「指定代理請求特約」を付けて使い、この特約に保険料はかかりません。
どんなときに使えるか
生命保険文化センターは、「特別な事情」の例として次の2つを挙げています。
- 本人が意思を表せないとき(昏睡状態など)
- 本人が余命や病名を知らされていないとき
2つめは、がんの場面で特に関わります。本人に病名を伝えていない家族が、本人の名前で診断書を取り寄せて請求書を書くと、請求の書類が本人の目に触れることがあります。
指定代理請求は、こうした場面を想定した仕組みです。
請求の方法を比べる
| 方法 | 誰が請求するか | 前もって要る準備 |
|---|---|---|
| 本人の請求 | 受取人である被保険者 | なし |
| 指定代理請求 | 契約者が指定した代理人 | 特約を付け、代理人を指定しておく |
| 成年後見制度 | 家庭裁判所の手続きで選ばれた後見人など | 家庭裁判所への申立て |
指定代理請求が使えないときは、成年後見制度を使って請求する方法もあります。成年後見には法定後見と任意後見の2つがあり、申立ての手続きや費用は家庭裁判所に問い合わせます。
がんの治療で関わる場面
指定できる人の範囲と、代わりに請求できる保険金・給付金の種類は、保険会社によって違います。範囲の例は、戸籍上の配偶者や、同居か生計を同じくする3親等内の親族などです。
がんと診断されたら、まずすべての保険証券を出して、指定代理請求の特約が付いているか、誰が指定されているかを確かめましょう。
契約したのが何年も前なら、指定した人が今も範囲に入っているかも見ておきましょう。
本人の体調がよいうちに確かめておけば、急に必要になったときに慌てずに済みます。複数の会社の保険に入っているなら、会社ごとに確かめましょう。
代わりに請求するときの流れ
生命保険文化センターが示す請求の流れは、代理人が請求するときも大きくは変わりません。
| 段階 | すること |
|---|---|
| 1 | 保険証券・ご契約のしおり・約款で契約内容を確かめ、保険会社に連絡する |
| 2 | 届いた請求書に記入し、病院の診断書などをそろえて出す(診断書は原則として会社所定の様式) |
| 3 | 保険会社が、書類と約款にもとづいて支払いの対象かを判断する |
| 4 | 指定の口座に振り込まれ、明細書が届く |
保険会社は、連絡がない限り入院や手術の事実を知ることができません。2か所以上の会社と契約しているなら、1社ごとに連絡が要ります。
注意すること
代わりに請求できる給付金の種類は会社によって違います。使いたい給付金が対象に入っているかを、約款か保険会社の窓口で確かめましょう。
保険給付を請求する権利は、請求できる時から3年間使わないと時効で消えます(保険法第95条第1項)。
例:2026年12月に請求できる状態になった給付金なら、法律上の時効の目安は3年後の2029年12月です。いつから数えるかの扱いは、約款と保険会社に確かめましょう。
代わりに請求する人がいないまま、時間だけがたつことのないようにしましょう。
請求の流れと書類はがん保険の請求の記事で説明しています。