総所得金額等は、給与所得・事業所得・不動産所得・雑所得などを合計した「所得」の額です。収入から必要経費や給与所得控除を引いたあとの金額で、手取りや年収とは違います。

医療費控除では、この額が200万円未満の人は、差し引く額が10万円ではなく総所得金額等の5%になります。

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何を足した額か

国税庁の専門用語集では、次の2つの合計に、退職所得金額と山林所得金額を加えた額とされています。

  • 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得、雑所得の合計(損益通算後)
  • 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計(損益通算後)の2分の1

株式の譲渡益など申告分離課税の所得があれば、それも加えます。退職所得は、確定申告が不要な場合でも足す点に気をつけましょう。

よく似た言葉に「合計所得金額」があります。足すものは同じで、違いは純損失や雑損失などの繰越控除です。繰越控除を引いたあとが総所得金額等、引く前が合計所得金額です。

計算例:給与収入200万円の人

給与だけの人は、給与収入から給与所得控除を引いた「給与所得」が総所得金額等になります。令和8年分では、給与収入200万円の給与所得は200万円 − 74万円 = 126万円です。

項目金額
給与収入(源泉徴収票の支払金額)200万円
給与所得(=総所得金額等)126万円
医療費控除の足切り(126万円×5%)63,000円
その年の医療費(補てん後)が8万円なら控除額8万円 − 63,000円 = 17,000円

足切りが10万円のままだと思うと、この人は医療費控除をあきらめてしまいます。実際は、医療費が10万円に届かなくても控除を受けられます。

がんの治療で関わる場面

治療のために休職すると、その年の給与収入が減ります。健康保険の傷病手当金は非課税所得なので、総所得金額等には入りません。

休職した年は、総所得金額等が200万円を下回って、5%の基準が使えることがあります。

家族の医療費をまとめるときは、誰の申告で控除するかが分かれ目です。所得の多い人がまとめると税率が高いぶん減る税額が大きくなりやすく、所得の少ない人がまとめると足切りが小さくなります。

両方で計算して比べるのが確実です。ただし、控除に入れられるのは実際にその医療費を払った人の分だけです。

ほかの控除で使われる場面

総所得金額等は、医療費控除以外の計算にも出てきます。

控除総所得金額等の使われ方
医療費控除200万円未満なら、足切りが10万円でなく総所得金額等の5%
雑損控除(災害・盗難など)損害額などから総所得金額等の10%を引く
寄附金控除寄附の額と総所得金額等の40%の低いほうから2,000円を引く

注意すること

  • 源泉徴収票の「支払金額」は収入。総所得金額等は「給与所得控除後の金額」の欄を見る
  • 給与所得控除の額は年分で違う。令和7年分は、給与収入190万円までの給与所得控除が65万円
  • 給与収入が660万円未満の人は、国税庁の別表で給与所得を求めるため、端数が少しずれることがある

足切りを含めた医療費控除の全体はがん治療の医療費控除で、自分の数字での試算は医療費控除の計算ツールで確かめられます。休職中の収入の柱になる給付は傷病手当金の記事にあります。