受給期間の延長は、雇用保険の基本手当(失業手当)を受け取れる期限を、病気などで働けなかった日数だけ後ろへずらす手続きです。
対象は引き続き30日以上働けなくなったときで、延ばせるのは最長3年。もとの1年と合わせて、受給期間は最大4年になります。
受給期間と給付日数は別のもの
「受給期間」は、基本手当を受け取れる期限のことです。原則として離職日の翌日から1年間で、所定給付日数が330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日になります。
「所定給付日数」は、受け取れる日数の上限です。受給期間が過ぎると、給付日数が残っていても、それ以上は受け取れません。延長の手続きは、この期限を延ばすものです。給付日数そのものは増えません。
| 延長しない場合 | 延長した場合 | |
|---|---|---|
| 受給期間 | 離職日の翌日から1年 | 1年+働けなかった日数(延長は最長3年) |
| 療養が10か月続いたとき | 回復後、残り約2か月で受け取る | 回復後、ほぼ1年の期限が残る |
| 療養が1年を超えたとき | 期限が過ぎ、受け取れない | 延ばした分の期限が残る |
がんの治療で関わる場面
基本手当は「いつでも就職できる能力がある」人のための給付です。ハローワークは、病気やけがですぐには就職できないときは受けられないと案内しています。
治療のために退職し、療養している間は、基本手当は出ません。
たとえば3月31日に退職し、手術と術後の治療で8か月療養した人を考えます。延長しなければ、受給期間は翌年3月31日まで。11月末に働けるようになっても、残りは4か月です。
4か月の中には、求職の申込みから実際に支給が始まるまでの手続きの時間も入ります。所定給付日数が多い人ほど、受け取りきれない日数が出るおそれがあります。
延長の申請をしておけば、療養した約8か月分だけ期限が後ろへずれます。
| 時期(例) | 受け取るもの | すること |
|---|---|---|
| 3月31日 | (退職) | 離職票を受け取る段取りをする |
| 4月〜11月 | 傷病手当金(継続給付) | 30日以上働けない状態になったら、受給期間の延長を申請 |
| 12月以降 | 基本手当 | ハローワークで求職の申込み |
療養の間は健康保険の傷病手当金(継続給付)を受け、回復したら基本手当に移る。延長の申請は、この順番を可能にする手続きです。
手続きと注意すること
- 申請先は住所地を管轄するハローワーク。代理人による申請や郵送でもできます
- 30日以上働けなくなった日の翌日以降、早めに申請するのが原則です。延長後の受給期間の最後の日までなら受け付けてもらえます
- 離職票が必要になるので、退職時に会社から受け取る段取りを確かめましょう
- 基本手当を受けるには、離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることも必要です
- 病気による退職が離職理由としてどう扱われるかは、ハローワークが判断します
求職の申込みをしたあとに15日以上働けなくなった場合は、雇用保険の「傷病手当」という別の給付があります。名前が似ていますが、健康保険の傷病手当金とは別の制度です。
働けるようになったら、ハローワークで求職の申込みをします。がんなどで長期の療養が必要な人の就職を支える専門の相談員がいるハローワークもあります。
退職前後の手続き全体はがんで仕事を辞める前に確認することをご覧ください。