差額ベッド代は、個室や少人数の部屋など「特別療養環境室」に入院したときに、保険診療とは別にかかる部屋代です。

制度上は選定療養の「特別の療養環境の提供」に当たり、全額自己負担で、高額療養費の対象にもなりません。病院は、料金を明示した同意書に患者側の署名がなければ、この料金を求められません。

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特別療養環境室の条件

どの部屋でも差額ベッド代を取れるわけではありません。厚生労働省の通知は、特別療養環境室の要件を次のように定めています。

要件内容
病床数1室4床以下
広さ1人あたり6.4平方メートル以上
設備プライバシーを確保するための設備など
掲示受付や待合室などに、各室のベッド数・場所・料金を掲示し、原則ウェブサイトにも載せる

料金の額は医療機関ごとに決めます。全国共通の基準額はありません。

払わなくてよい3つの場合

同じ通知は、差額ベッド代を患者に求めてはならない場合として、次の3つを挙げています。

場合例
1. 同意書で同意を確認していない同意書に室料の記載がない、患者側の署名がないなど、内容が不十分な場合も含む
2. 治療上の必要で入れた術後などで病状が重く安静が必要、免疫力が下がって感染症にかかるおそれがある、集中治療を行う、など
3. 病棟管理の都合で、実質的に患者の選択によらない院内感染を防ぐために主治医などが個室に入れた場合など

治療上の必要がなくなったあとも個室にいる場合は、改めて同意書で意思を確かめることになっています。

計算例:14日入院したときの支払いの分かれ方

70歳未満の人が、自分で希望した個室に14日入院し、1日3食を食べたとします。支払いは3つに分かれ、上限がかかるのは1つだけです。

支払い計算高額療養費
保険診療の一部負担金医療費の3割。所得区分ごとの上限まで対象
食事代(2026年6月1日から1食550円)550円×42食=23,100円対象外
差額ベッド代病院が決めた1日の室料×14日対象外

3行目は日数に比例して増え、どこにも上限がありません。入院が30日になれば、同じ室料の30日分です。

がんの治療で関わる場面

手術のあとや、治療で感染に注意が必要な時期に、病院の判断で個室に移ることがあります。その期間は表の2に当たりうるので、料金がかかるかを病院に確かめましょう。

一方、静かに過ごしたい、家族が付き添いやすいといった理由で自分から個室を希望した場合は、同意書に署名すれば料金がかかります。入院が長引くと、1日単位の料金が日数分たまっていきます。

注意すること

  • 同意書は、室料の額が書かれているかを見てから署名する。署名した同意書の控えをもらう
  • 差額ベッド代は高額療養費の計算に入らない。限度額適用の手続きをしても、この分は別にかかる
  • 本人や家族の都合だけで個室に入ったときの差額ベッド料は、医療費控除の対象外

入院費の全体と同意書の確かめ方はがんの入院費用に、高額療養費の上限は高額療養費の記事にまとめています。