エストロゲンは本来、卵巣でつくられるホルモンですが、閉経後は副腎から分泌されるアンドロゲンという男性ホルモンをもとにして、末梢脂肪組織や乳腺でつくられます。
このときアロマターゼという酵素が必要になりますが、この酵素の働きを阻害して、エストロゲンの生成を妨げる薬がアロマターゼ阻害剤です。したがって、閉経後の乳がんの人に使われます。
アロマターゼ阻害剤は最近登場した新しいタイプのホルモン療法剤で、日本で認可されているのは、アナストロゾール(商品名アリミデックス)、エキセメスタン(商品名アロマシン)、ファドロゾール(商品名アフェマ)です。
この中でアナストロゾール、エキセメスタンが第三世代のアロマターゼ阻害剤と呼ばれ、よく使われています。アナストロゾールとタモキシフェンとの比較研究で、閉経後乳がんの術後補助療法としては、アナストロゾールのほうがより効果が高く、副作用が少ないと報告されています。特に、子宮体がんの増加がないとされているのは大きなメリットです。
ただ、長い間使われてきたタモキシフェンに比べて、アナストロゾールは歴史が浅いので、長期間使った場合の効果や副作用はわかっていません。国際会議での乳がん術後補助療法の合意事項でも、標準治療の治療薬はタモキシフェンとされ、アロマターゼ阻害剤に切りかえることは時期尚早とされました。
しかし、最近になってアロマターゼ阻害剤とタモキシフェンとの比較試験がいくつか行われており、次のような結果が報告されています。
■タモキシフェンを5年間服用するよりも、タモキシフェンを2~3年服用したあとでエキセメスタンを2~3年服用すると、再発のリスクが減少し、反対側の乳がん発生も減らすことができる。
■タモキシフェンを5年間服用後、レトロゾール(日本では未承認の薬)を5年間追加すると、さらに乳がんの再発抑制効果が高くなる。
現在もタモキシフェンとアロマターゼ阻害剤の比較試験は行われているので、近い将来はっきりした評価が下されるでしょうが、閉経後乳がんの術後補助療法として、アナストロゾールを第1選択薬として使う病院が増えているのも事実です。
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