自分ではたばこを吸わないけれども、家庭や職場でたばこの煙をあびている人は、(がんの予防なるといわれている)野菜や果物を食べる量が多くても少なくても、肺がんリスクが高いという結果があります。
フランス国際がん研究機関のグループによるこの研究は、「米国立がん研究所雑誌」2OOO年3月1日号に報告されました。これまでの研究のまとめから、自分ではたばこを吸わない人が、喫煙者の家族と同居していると、そのような家族がいない場合と比べ、肺がんのリスクが24%高くなると考えられています。
これに対する批判として、家族に喫煙者がいる人といない人では、食生活などの他の要因も異なる場合があるので、実際には受動喫煙と肺がんに関係がなくとも、見かけ上関係があるような結果になっている可能性が指摘されてきました。
この問題をくわしく調べるため、研究者らは、たばこを吸わない人の肺がんについての、ヨーロッパ12地域で行った調査データの一部を再分析しました。患者502人と健康な1036人を対象にしました。分析にあたって、家庭と職場で浴びるたばこの煙(受動喫煙)が多い群(上位4分の1)と少ない群に、対象者を分けました。
また、この研究で肺がんリスクを下げていた8種類の食品や栄養素を食べる量が多い群(上位3分の1)と少ない群に分けました。8種類の食品と栄養素は、果物、レタス、トマト、にんじん、カロテン、ベータ・カロチンなどです。
その上で、受動喫煙が多いか少ないか、食品の量が多いか少ないかの組合せで、全体を4グループに分け、肺がんリスクを比べました。その結果、受動喫煙が多い群の肺がんリスクは、少ない群より4O%高いことがわかりました。
受動喫煙が少なく、予防食品の摂取が多いという、1番リスクの低いグループと比べると、受動喫煙が多い場合には、肺がん予防になる食品や栄養素の量が多くても少なくても、肺がんリスクが高くなっていたのです。
具体的には、受動喫煙は多いが予防食品の量も多いグループでは、リスクが(8種類の食品により)8~52%増加しました。また、受動喫煙が多く予防食品の量が少ないという、1番リスクの高いグループでは、肺がんリスクの増加は40~125%におよびました。
以上の結果から研究グループは、「家族に喫煙者がいる人といない人では、食生活などの他の生活習慣も異なる場合があるので、実際には受動喫煙と肺がんに関係がなくとも、見かけ上関係があるような結果になっている」という批判はあてはまらず、食生活の違いにかかわらず、受動喫煙は実際に肺がんリスクを高めているだろうと考察しました。
また研究者らは、受動喫煙の量が多く、肺がん予防の可能性のある食品や栄養素を食べる量が少ないという、2つの要因が重なった場合には、肺がんリスクの増加が1OO%(二倍)にもなる危険性があることを強調しています。
自分でたばこを吸っている人の肺がんリスクの上昇が、吸わない人の数倍~十数倍にのぼることに比べると自分でたばこを吸わない人の、受動喫煙によるリスクの上昇は、必ずしも大きくありません。
このように小さなリスクの影響を調べる時には、他の要因の影響を受けやすくなります。「他の要因」の代表である食生活を考慮してくわしい分析を行い、食生活の相違にかかわらず受動喫煙によってリスクが上昇することを示した点に、この研究の意義があるといえます。
・・・
どうすれば、がんは治せるのか!?
標準治療(手術・抗がん剤・放射線)に耐え、代替療法も活用すれば・・・
本当にがんは治せる?
詳しくはこちらのページで