■体調だけでなく生活や食事のチェックもする
医療機関と自宅ではどうしても食事が大きく違ってきます。食事指導は受けても、実際に自宅での生活を始めると、困ったり迷ったりすることもあるでしょう。
そこで、退院して2週間ほどたったら再診し、わからない点をよく聞きます。もう一度説明を受けて、大きな問題なく日常生活が送れるようになったら、2~3ヵ月に1回くらいの定期検診になります。
定期検診では、術後の経過をみるのはもちろん、再発や重複がんのチェックが重要な目的になります。術後2年間くらいは、食道とその周囲だけでなく全身を調べ、再発や転移の有無を調べます。
■通院はできれば家族と一緒に
退院後の生活では、家族の協力が大切になります。それだけに、退院後の通院はできるだけ家族も同行し、医師などの説明を一緒に聞いておくのがベストです。通院の節目は、治療後2~3年と5年です。
・2年間は2~3カ月に1度
再発と重複がんは、2~3年以内に発症することが多い。発症を警戒して、2~3ヵ月に1度は検査を受ける。退院後の生活で困ったことや不明点があれば、検診時に積極的に聞いて、確認しよう。
・2~4年間は4~6カ月に1度
2~3年たてば重複がんの危険性は多少低下するが、残った食道や臓器への転移や再発を警戒する。進行度により異なるが、4~6カ月に1度は、定期的に検査を受ける。
・5年後からは半年~1年に1度
5年しても、重複がんや再発は100%ないとはいえない。油断せず、できれば半年に1度は検査を受けておきたい。それが無理でも、1年に1度はかならず受けるようにしよう。
■再診時は全身をチェックする
食道での再発の有無はもちろん、リンパ節転移の有無、ほかの臓器への転移の有無などを詳しく調べる。患者さんの病状などによって、検査項目などは、それぞれ異なる。
・食道がんの再発や転移をチェックする
視診・触診、CT検査・PET検査、血液検査、内視鏡検査など
食道やリンパ節に取り残しのがん細胞による再発、あるいは転移の有無を検査する。視診や触診をはじめ、CT検査、PET検査、血液検査、内視鏡検査などを受ける。
・重複がんをチェックしてもらおう
喉頭がん・咽頭がん→耳鼻咽喉科
胃がん・大腸がん→消化器科、消化器外科
肺がん→呼吸器科など
食道がんと前後して発症しやすい重複がんを、毎回きちんとチェックする。特に現れやすいがんに関しては、それぞれの診療科で専間的に調べてもらう。
■ふだんは再発のことを忘れ体の養生に専念する
せっかく日常生活に戻っても、再発の心配ばかりしている人もいます。しかし、くよくよと悲観的に考えてばかりいるのは、あまりよくありません。
再発に関しては、定期検診でしっかりとチェックしてもらえるので、ふだんは体力回復と社会復帰を第一に考え、毎日前向きの気持ちで過ごしましょう。そして、もし体調の変化があったり気になる症状があったりしたときは、定期検診日を待たず、すぐに受診するようにします。
・「あれっ?」と思う症状があったら医療機関へ
再発が起きやすいのは、リンパ節や肺など。首の腫れや声のかすれには、注意しておこう。臓器での再発では、多様な症状が現れるので、おかしいなと思ったら、念のためにすぐに受診する。
・局所なら切除、全身なら抗がん剤を使う
残った食道に局所的ながんができた場合などは、手術を受けて根治を目指すことがある。ただ、多くの場合は、全身にがん細胞が回っていることを想定して、抗がん剤治療や化学放射線療法が行われる。
■体の黄色信号に早めに気づく
手術後に、腸閉塞などの重篤な状態になることがあります。永久気管孔にしてカニューレ(管)を使っている人は、管から細菌などが入り、感染症にかかりやすくなります。体調の変化を放置せず、速やかに受診しましょう。
・おなかの不調は絶食して様子をみてみる
手術後は、腸の癒着などで腸管が詰まる「腸閉塞」が起きることがある。症状が現れたら、まずは医療機関へ。軽い場合は、絶食して経過を観察するが、ひどい場合は手術をしないと命に関わることも。
・精神的につらければ医師や家族に相談を
リハビリがうまく進まない、おもうように食べられないなどで気持ちが落ち込み、うつ状態になってしまうことも。悩みを1人で抱えず、つらい胸の内を人に話して、気持ちを落ちつかせよう。
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