1994年、世界がん研究基金と米国がん研究機関は、国際的な立場からがん予防の提言を行うために、著名な科学者を中心とする委員会を結成しました。
15名の委員と19名の協力者からなるこの委員会では、外部の専門家の協力を得ながら、がんと栄養についての4000本以上の論文を集め、その内容をくわしく調べました。4年間にわたる作業のすえ、1997年1O月に、報告書「食物・栄養とがんの予防 - 国際的視点から」を刊行しました。この報告書では、それぞれのがんと栄養との関係を判定しています。
現在世界では、毎年約1000万人ががんになっていますが、この提言を国際的に実行することにより、そのうち3OO万~4OO万人のがんを予防できるという見通しを立てています。この提言は、日本人にもだいたいあてはまる内容なので、私たち自身の生活に取り入れる工夫をすることが大切です。
この報告書が提示する判定は、がんと栄養に関する、今日の標準的な知識と言うことができます。ただし、この報告書の基礎になっているのは、1997年までに論文報告された研究です。判定の大部分は、今日でも適用するものですが、その後の研究の進展により、今後見直すべき部分も出てくるでしょう。
例えば、「野菜」「果物」のがん予防効果は、多くの部位のがんについて、「確実」「おそらく確実」と判定されています。しかし、この判定と矛盾する研究が、最近続けて報告されています。そのためこの報告書の結論も、固定的に促えるのではなく、あくまで1997年という一時点でのまとめであることに留意するべきだといえます。
■がん予防のための提言・世界がん研究基金(1997年)
1.食物供給と摂取
野菜、果物、豆類、精製の低い澱粉質主体の主食など、植物性食品が中心の食事にする。
2.体重の維持
やせと肥満を避ける。成人期の体重増加を5kg未満に抑える。
3.身体活動の維持
仕事を通じた運動量が多くない場合には、1日1時間の早歩きまたはそれに相当する運動をする。週に1時間以上、強度の運動をする。
4.野菜と果物
1年を通して、1日400~800g、または5皿以上の、野菜と果物を食べる。
5.他の植物性食品
1日600~800g、または7皿以上の、穀類、豆類、芋類などを食べる。できるだけ加工されていない食品を選ぶ。砂糖を避ける。
6.アルコール飲料
飲酒は勧められない。もし飲むのであれば、男性は1日2杯、女性は1杯未満にとどめる。
7.肉類
赤身の肉を食べるなら、1日80g未満にとどめる。赤身の肉より、魚や鶏肉の方が好ましい。
8.脂質と油脂
高脂肪食品を避ける。特に動物性脂肪を避ける。適量の植物油を使う。
9.塩分と塩蔵
高塩食品を避け、調味塩や食卓での塩の使用を避ける。ハーブやスパイスを調味料こ使う。
10.かびの防止
かびた可能性のある食物を食べない。
11.食品保存
冷蔵庫や他の適切な方法で食品を保存する。
12.食品添加物と残留化学物質
適切に規制されていれば、添加物や農薬などの残留化学物質は害にならない。しかし、不適切な使用は健康への害となる可能性がある(特に発展途上国で)。
13.調理
こげた食物を食べない。肉汁をこがさない。直火で焼いた魚や肉、塩漬けや燻製の肉を控える。
14.栄養補給剤
上記の提言を守れば、がん予防のために栄養補給剤を飲むことはおそらく不要である。(喫煙)たばこを吸わない。
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