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ベータ・カロチンでがんの予防はできるか

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「がん予防」といえば「緑黄色野菜」、「緑黄色野菜」といえば「ベータ・カロチン」。

こうした連想がすぐに思い浮かぶほど、ベータ・カロチンは、がん予防効果のある栄養素の代名詞として定着してきました。じっさい、培養細胞や実験動物での研究や、人間集団を対象とする初期の研究の多くでも、ベータ・カロチンのがん予防効果を支持する結果が報告されてきました。けれども、話はそう単純ではありませんでした。

1990年代の半ばに報告された、ベータ・カロチンのサプリメン卜を用いた一連の「無作為割付臨床試験」では、意外な結果が明らかになりました。

■中国の地域住民を対象とする研究

最初に報告されたのは、食道がんと胃がんの死亡率が世界的に高いことで知られる、中国北部河南省林県の住民を対象に行われた臨床試験です。1985年に、40~69歳の男女2万9584人を対象に始められた。この研究では、単独の栄養素ではなく、複数のビタミンやミネラルの組み合わせ(4種)の効果が比較されました。

A群はレチノールと亜鉛の組み合わせ、
B群はリボフラビンとナイアシン、
C群はビタミンCとモリブデン、
D群はベータ・カロチン、セレン、ビタミンE。

対象者は、A群からD群までの栄養素を含む錠剤を、さまざまな組み合わせで飲みつづけました。5年間で1227人が死亡しましたが、このうちがん死亡は792人であり、胃がん(331人)と食道がん(360人)がその中心でした。

その結果、A、B、C群の栄養素を投与された集団では、明らかながん死亡率の低下は認められませんでした。一方、ベータ・カロチン(15ミリグラム)を含むD群の栄養素を投与された集団では、他の集団と比べ、全がんによる死亡率が22%低下しました。とくに、胃がんの死亡率は21%減少しました。

この研究は、1993年の「米国立がん研究所雑誌」に論文として報告されました。栄養素の投与によるがん死亡率の低下を、じっさいの人間集団ではじめて実証的に確認した成果として大きな反響を呼び、ビタミンやミネラルのサプリメン卜を用いたがん予防への期待が高まったのです。

■フィンランドの男性喫煙者を対象とする研究

次は、フィンランド南西部の地域住民のうち、50~69歳の男性喫煙者2万9133人を対象に行われた研究です。ビタミンE(50ミリグラム)とベータ・カロチン(20ミリグラム)の補給剤の肺がん予防効果を評価することが研究の目的で、両方を投与する群、どちらか一方のみを投与する群、プラセボを投与する群の4グループに、対象者を無作為に割り付けました。

5~8年間の追跡調査により、876例の肺がん罹患が確認されました。その結果、ビタミンEを投与した群と投与しない群では、肺がん罹患率に差はありませんでした。いっぽう意外なことに、ベータ・カロチン投与群の肺がん罹患率は、非投与群より18%高いという結果でした。

この研究は、1994年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文報告されました。喫煙者の肺がん予防を意図して、ベータ・カロチンのサプリメントを投与したにもかかわらず、かえって肺がんの発生率が上昇したというこの結果は、世界中の研究者に大きな衝撃を与えたのです。

この研究に対する論説を同誌に寄せたハーバード大学の研究者は、この結果が当初の予測からあまりにもかけ離れていたために、実際にはベータ・カロチン補給剤が有効なのだが、「尋常でない偶然の振る舞い」のせいで、たまたま正反対の結果になってしまったのではないかという推測もありました。

■米国の3つの研究

1996年1月18日、米国立がん研究所は、米国で行われていたベータ・カロチンに関する3つの無作為割付臨床試験の結果を公表しました。第1のべータ・カロチンとレチノールの効能に関する臨床試験は、肺がんのハイリスク群である喫煙者とアスベスト作業者1万8134人を対象として、ベータ・カロチン(30ミリグラム)とレチノール(ヒタミンA、2万5000国際単位)の組み合わせ、またはプラセボを投与し、肺がん予防効果を評価する研究でした。

補給剤の投与を平均4年間行った時点で中間解析を行ったところ、投与群で肺がん罹患率が28%上昇し、全死因死亡率も17%上昇していました。そのため、当初の予定より21カ月はやく、ベータ・カロチンとレチノールの投与を中止しました。

第2の「医師健康研究」は、男性医師2万2O71人(喫煙率は2%)を対象として、ベータ・カロチン(50ミリグラム)、アスピリン(325ミリグラム)またはプラセボを1日おきで投与し、がんと虚血性心疾患の予防効果を評価する研究でした。

12年間の投与を予定通り終了して分析したところ、ベータ・カロチンにがんの予防効果はなく、明らかな害もないという結果でした。第3の「女性の健康研究」は、女性保健職3万9876人を対象として、ベータ・カロチン(50ミリグラム)、ビタミンE(6OO国際単位)、アスピリン(100ミリグラム)を隔日投与し、がんと虚血性心疾患の予防効果を評価する研究でした。

約2年間の投与を行った時点で、第1と第2の2つの研究結果が出たために、ベータ・カロチンの投与を中断する一方、ビタミンEとアスピリンの投与は予定通り続けるよう、研究計画を変更しました。

第1と第2の臨床試験の結果は、その後同年5月2日号の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で、同時に論文報告されました。第3の臨床試験については、ベータ・カロチン投与を2年間で中断し、その後さらに2年間の追跡調査を行った結果が、1999年の「米国立がん研究所雑誌」に報告されましたががんと循環器疾患に対して予防効果も害もないという成績でした。

このように、ベータ・カロチンによるがん予防効果を支持する多くの研究を背景として、大規模な無作為割付臨床試験が行われました。しかし、中国の研究を例外として、他の研究では、ベータ・カロチンにがん予防効果はなく、喫煙者ではかえって肺がん罹患率を上昇させるという、予想外の結果だったのです。

一連の臨床試験の結果は、次のような解釈を含め、さまざまに論議されています。
・ふつうの食事を通したべータ・カロチンの摂取量は、 日本人なら1日2~3ミリグラム程度である。これに対して、一連の臨床試験では、1日あたり15~30ミリグラムのベータ・カロチンを投与した。つまり、食事から取る量の5~1O倍を、サプリメン卜として投与した。そのため、投与量が多すぎて、かえって有害になった。

・ベータ・カロチンのがん予防メカニズムとして、体内で発生する活性酸素を処理し、活性酸素が細胞や遺伝子を傷つけるのを防ぐという、抗酸化作用が考えられている。ところが、喫煙という酸化ストレスのかかった状況では、ベータ・カロチンは酸化を抑制するのではなく、かえって促進する作用が生じた。

・研究期間中に診断された肺がんの大半は、ベータ・カロチンの投与を開始した時点ですでにがん細胞が発生しており、ベータ・カロチンがその発育をかえって促進した。

・中国の地域住民と比べて栄養状態が相対的に良好な米国やフィンランドの集団では、食事から摂取するベータ・カロチンだけで十分であり、サプリメン卜として多量に投与しても効果はない。

・がん予防効果があるのは、緑黄色野菜に含まれるべータ・カロチン以外の物質であり、ベータ・カロチンじたいには予防効果はない。

今日でも、これらの論争に決着がついたわけではありません。とはいえ、臨床試験以外の研究も総合して判断すると、およそ次のように考えられるのではないかと思います。すなわち、ふつうの食事を通して摂取するレベル(1日2~3ミリグラム)では、ベータ・カロチンを多く食べている集団の方が、少なく食べている集団よりも、がんの発生率は低い。

ただし、それがベータ・カロチンそのものの効果なのか、ベータ・カロチン以外のカロテン類(アルファ・カロチンやリコぺンなと)の効果なのかを、厳密に区別することは難しい。ベータ・カロチンにせよ、他のカロテン類にせよ、ある程度十分な量を食事からとってしまえば、それ以上の量をとっても、がんの発生率は下がらない。

もともとカロテン類を十分摂取しているところに、食事から摂取する量の5~1O倍(1日15~30ミリグラム)という大量のベータ・カロチンをサプリメン卜として摂取しても、がんの発生率は下がらないだけではなく、喫煙者ではかえってリスクが高くなる。

実際、世界がん研究基金の報告書の判定では、「食事からのカロテン類」による「肺がん」予防を、「おそらく確実」と判定しています。ここで「食事からの」という限定がわざわざ明記されているのは、サプリメン卜による多量摂取ではなく、食事からのより少量の摂取レベルでの作用についての判定であることを、はっきりさせるためです。

また、「べータ・カロチン」という単独の物質ではなく、「カロテン類」としての判定を示しているのは、食事からの摂取レベルに関する研究では、ベータ・カロチンじたいの影響と、他のカロテン類の影響を、切り離して評価することが難しいという事情を反映しています。

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