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緑茶と胃がんの関係とは

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「緑茶を1日5杯以上飲んでも、胃がんになるリスクは下がらない」「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の2OO1年3月1日号にこのようなコホート研究が掲載されました。

この研究は、宮城県に住む4O歳以上の2万6311人を対象に、1984年に始められました。質問票を使って、1日に緑茶を飲む杯数や、他の食生活や生活習慣についてたずねました。その後1992年末まで、9年間の追跡調査を行ったところ、419人が胃がんになりました。

その結果、緑茶を飲むのが1日1杯未満だった人と比べて、1日1~2杯飲む人の胃がん発生率は1.1倍、3~4杯では1.O倍、5杯以上では1.2倍でした。つまり、緑茶を飲む杯数が多くても、胃がんのリスクは下がらないという結果でした。

「ニューイングランド」誌という、世界でもっとも権威ある臨床医学の専門誌に掲載されたこともあり、この結果は、ニューヨークタイムズをはじめ、世界の多くのメディアで報道されました。日本でも、いくつかの新聞が記事にしました。この研究結果は、「緑茶はがんの予防になる」という、これまでの「常識」に反するものでした。

緑茶と胃がんについて、これまでに報告された疫学研究をまとめると、「地域相関研究」や「症例対照研究」を中心とする初期の研究では、おおむね一致して、緑茶による胃がんリスクの低下が示されています。こうした研究が、これまでの「常識」の根拠になってきたわけです。

症例対照研究でいう「リスクの低下」とは、具体的に言うと、「すでに胃がんにかかった患者に、むかし緑茶をどのくらい飲んでいたかを思い出してもらい、健康な人と比べたところ、胃がん患者のほうが、健康な人よりも、むかし飲んでいた緑茶の杯数が少なかった」ことを表しています。

けれども、すでに胃がんになってお腹の症状がある患者さんに、むかしどれだけ緑茶を飲んでいたかをたずねても、正しい答えが返ってくるとは限りません。「緑茶を多く飲まなかったから胃がんになった」のか、「胃がんになったから緑茶を多く飲めない」のかを、きちんと区別できない可能性があるわけです。

いっぽう、コホー卜研究」では、3件が最近報告されていますが、いずれも緑茶の予防効果を認めていません。ハワイ日系人の研究では、1万1799人を対象に緑茶の摂取量を調べ、約15年の追跡調査を行ったところ、1O8人が胃がんになりました。

その結果、緑茶を飲むのが1日1杯未満だった人と比べて、1日1杯飲む人の胃がん発生率は1.3倍、2杯以上では1.5倍でした。つまり、緑茶を飲む杯数が増えると、胃がんのリスクがむしろ高くなる傾向を示しましたが、統計的に意味のある結果ではありませんでした。これらの「前向きコホート研究」では、対象集団が病気になる前の、健康なときの食生活を調べ、追跡調査によって病気の発生を確認します。

そのため、「地域相関研究」や「症例対照研究」の結果よりも、信頼性が高いと考えられています。緑茶のがん予防効果という問題が、最終的にどう決着するか、さらに研究が必要です。けれども、初期の研究によって常識化していたこの仮説が、より信頼性の高い新しい研究で否定されてしまう可能性も、十分あるのです。

緑茶のがん予防効果を過信することには、慎重になったほうがよいといえます。

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