早期の食道がんの場合、内視鏡を使った治療を受けることができます。具体的には、深さが粘膜固有層内にとどまっていて、食道を輪切りにしたとき、3分の2周以内のがんが対象です。
方法は主に2つあります。ひとつは内視鏡的粘膜切除術(EMR)です。生理食塩水を粘膜下層に注入して病巣を盛り上げ、スネアと呼ばれるワイヤーをひっかけて、焼き切ります。
もうひとつは、ナイフ状の器具で病巣を切り取る、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)です。このほかに、レーザーやアルゴンプラズマ、電磁波などを利用して、病巣を固めてしまう治療法もあります。
■EMR(内視鏡的粘膜切除術)
がん組織を持ち上げ、スネアをひっかけて高周波電流で焼き切る方法。一度に切除できるのは2cm以内のがん。それ以上の場合は、分割して切除することもできるが、分割切除すると浸潤具合などの把握がしにくく、再発も多い。
■ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
ナイフのような器具で、粘膜下層の組織ごとがんを切除する方法。採取した組織を検査する際、一括切除のほうが正確に病状を把握できる。反面、食道壁を傷つけやすいなどのリスクがある。
■体への負担が少ないがリスクがある
大きく切開しなくてはならない外科手術に比べ、内視鏡による治療は、身体的な負担が少なく、術後の管理がしやすいといえます。
ただ、内視鏡的治療によるリスクもあります。非常に微妙な操作でがんを切り取ったり剥がしたりするため、ちょっとしたミスで食道壁に孔が開いたり、出血するといったトラブルが起きる危険性があるのです。
特に、技術的に高度なESDのリスクが高くなっています。内視鏡で採取した組織の組織検査などの結果により、手術療法や化学療法などを、追加することもあります。
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