「あなたはがんにかかっています」といわれた瞬間に、冷静な気持ちでいられる人は絶対にいないでしょう。
がんの知識の豊富ながん治療の専門医でさえ、自分ががんにかかっているとわかった瞬間、なにも考えられなくなって判断力を失うと書いています。がんにあまり関心がなく、がんを死に直結する病気だと思いこんでいる人たちにとって、がんの診断は死刑宣告のようなものでしょう。
ましてや、「病状はかなり進行しています。もう手術はできないので化学療法(抗がん剤やホルモン剤を使う治療法)を考えましょう」といわれたりすれば、いよいよ死期がせまってきたと感じて、目のまえが真っ暗になるのはむりもないことでしょう。
このようにがんの診断を受けた直後の患者の多くは、動転して医師の説明を理解する能力も、判断する能力も失います。じっさいに病院から家に帰ったあと、「がんだといわれたけど、なにをいわれたのか、ぜんぜんおぼえていなかった」という人たちがほとんどです。
そればかりか大半の人たちが、「家まで、どうして帰ってきたかわからなかった」とさえいっています。
なかには、からだのどこにがんがあるかも聞きもらしたため、がんですといわれた瞬間になにをするか家族があわてて聞き直しにいくケースもあります。がんの診断を受けたときの衝撃は、たとえ予想していたとしても、それほど大きいということです。
がんの診断を受けた直後は、本人の理解力や判断力は信用できません。だから、最初の診断を聞くときはひとりでいかないで、信頼できる人についてきてもらうことが絶対条件になります。とくに患者が高齢者のばあいは、だれかについてきてもらわなければなりません。
ふつうは患者を心から心配する家族がついていくのが適切でしょうが、会社の上司や同僚でも、親しい友だちでも心強い付添い人になってくれるでしょう。付き添い人に医学知識は必要ではありません。
医師の発言を理解し、わからないことを聞いてくれる人であることが重要です。付き添い人には(1)あなたのからだになにがおきているのかと、(2)どんな治療法が提案されるかを、できるだけ正確に理解することにポイントをしぼってもらいましょう。
あなたを診察してきた医師は、あなたの治療を中心として担当する主治医です。いまは主治医のほうから、患者の動揺を見越して、「ご家族のみなさんで、そろってきてください」といわれることもあります。
もっとも診察室は狭いので、あまり大勢ではいると混乱するかもしれません。また、それぞれに質問したりすると医師も答えきれないでしょうし、みんなが混乱する結果になりかねません。診察室で最初の診断が伝えられるとき、ついてきてくれた人に、できるだけくわしいメモをとってもらいましょう。
医師のほうも、メモもとらないで聞いている患者側を相手にすると、細かい説明をしてもしょうがないという気持ちになるかもしれません。それに、いまでは検査も治療法も複雑になっているので、メモをとらなければ整理することも理解することもできないと考えられます。
きちんとしたメモがなければ、あとで相談することもできません。がんの治療は長期戦になり、さまざまな経過をたどるでしょうが、この最初の理解(メモ)が最後まで役だちます。
医師の説明を聞くとき、録音しようとする人たちがいますが、「あとで家族そろって先生のご説明をなんども聞きたいので、録音してもいいですか」と事前に了解をとるようにしましょう。なかには録音されることを嫌う医師もいるので、このような心遣いが必要になります。
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