主治医はまず検査の結果や画像(CT<コンピュータ断層撮影>、MRI<磁気共鳴画像>、エコー<超音波>などの写真)を見せて、どうしてがんと診断したかを説明します。
どんながんでも、このときの説明がすべての治療の基礎になります。この説明を正確に理解しなければ、そのあとの治療を納得して受けることができません。自分でろくろく理解もしないで、医師のいいなりに治療を受けていれば、思うほどの効果があがらないこともあります。
ここで医師に遠慮する必要はありませんが、あくまでも質問を病状の問題にかぎるべきです。理解すべき第1のポイントは、患者がどんながんにかかっていて、どんな病状かということにかぎられます。
要点をまとめれば、以下のようになるでしょう。
(1)なんというがんにかかっているのか。
がんには2OOもの種類があるといわれます。聞いたことのないようながんのばあいは、とくに確認が必要です。たとえば血液のがんはとくに種類が多いので、しっかり聞いておかなければなりません。がんの治療法は複雑で個別的であり、肺がんや乳がんでは、人によって治療法が異なります。
(2)がんという診断が確定したのか。それとも疑問の余地があるのか。
最初の診断の段階では、解明しきれない問題が残るかもしれません。そのときは追加の検査や、病状の経過観察が行われます。
(3)どのような種類のがんにかかっているのか。
がんによっては、いろいろな種類があり、進行速度も治療法もちがいます。たとえば肺がんでは「小細胞がん」と「非小細胞がん」があり、非小細胞がんには「扁平上皮がん」と「非扁平上皮がん」(「腺がん」と「大細胞がん」)があります。つまり、あわせて4種類のがんがあるわけです。
また乳がんになると、患者の「ホルモン感受性」(「エストロゲン」と「プロゲステロン」の感受性)が陽性か陰性かと、「HER2」というタンパク質のレベルが問題になり、それに閉経前か閉経後かを考慮して治療方針がたてられます。
(4)がんはどこに、いくつあるのか。
がんがどこにあるかで、治療方法がちがうことがあります。たんに胃がんだとか大腸がんというだけでなく、どの部分にがんがあるかが重要です。肺には右側に3つの部分(上葉、中葉、下葉)があり、左側に2つの部分(上葉と下葉)があります。
医師はそれだけでなく、がんが「肺門部」という太い気管にあるのか、「肺野」という末端の細い気管にあるのかも説明します。乳がんでは、左右のどちらの乳房のどこに、いくつのがんがあるかを確かめる必要があります。食道や大腸(結腸)は長いので、どこにがんがあるのかを確認することも大切です。
(5)がんはどの程度の大きさや深さになっているのか。
がんでは広がりが問題になります。しかし食道がん、胃がん、大腸(と直腸)がんなどでは、どんな深さに達しているかが判断のポイントです。すでに転移がおきているばあいは、どこにどれくらいの病巣があるかを知らなければなりません。
(6)がんのステージは?
がんは一般にO期からⅣ期にわけられますが、がんによっては、さらに細かくわけられます。この分類では、Ⅱ期までは根治的な治療が可能ですが、Ⅲ期になると病巣が患部の外側に広がっており、Ⅳ期になると、リンパ節や遠くの臓器に転移しています(遠隔転移)。
患者が質問しなくても、主治医は最初に、以上のようなことがらを説明することになります。ですので、主治医の説明に欠けているところがあれば、確認しなければなりません。それでも、これだけ多くのことを、いちどに理解しようとするとたいへんでしょう。分からないことは後で看護師や薬剤師などに聞くようにしましょう。
どんな人も、いちどになにもかも理解することはできません。しかし病状をできるだけ正確に認識しなければ、なにもはじまりません。
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