がんの治療において、手術の果たす役割はいくつもあります。
転移したがんの切除や、生命に関わる症状が患者に現れたときの緊急手術、それに、患者の生活の質を上げるための手術などです。しかし、手術のもっとも重要な役割は、発生場所(原発巣)のがんを切除してがんの完治を目指すことです。
がんはただ1個の細胞から始まり、細胞分裂をくり返すことによって大きくなります。細胞の数が10億~100億個に達するとがんは1センチ以上の大きさとなり、医師の診察や画像診断で発見できるようになります。
さらに細胞増殖が続き、がん細胞が1兆個以上になると、患者はさまざまな合併症を併発して、ついには死に至ります。これががんの一般的な自然死です。もちろん、がんの種類によってその成長速度や進行のしかたは異なります。
また最近、がんは増殖が一時的に止まって休眠状態に入る場合があることも明らかになりました。とはいえ、一般的にいえば、細胞数が10億~1兆個の範囲にある間にがん細胞の数をゼロに近づけなければ、患者はがんによって命を奪われることになります。
ここでがん細胞の数を「ゼロにする」のではなく「ゼロに近づける」と言ったのは、がん細胞の数が治療によって必ずしもゼロにならなくても、がんは治癒するからです。
がん細胞が1万個以下にまで減少すれば、患者が本来もつ免疫力によってがんを根絶できると推測されているのです。がんが転移していない場合、がん細胞の数をゼロ近くにまで減らすためにもっとも単純で確実な方法は、外科的な手術によってがんを切除することです。
手術の際には、がんのまわりの組織を大きく切り取り、正常な組織だけを残すようにします。こうすれば、手術した部分からがんが再発する危険性は低くなります。
たとえば皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)では、原発巣のまわりを広く切除すれば、その手術のみで100人のうち10人の患者が完治します。また大腸がんの場合、がんのできた部分を含めて腸管の口側と肛門側をそれぞれ5センチ切除して、残った腸と腸をつなぎ合わせれば、この部分(吻合部)からがんが再発する可能性は5パーセント以下に抑えられます。
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