前立腺がんの治療は、早期なら「ホルモン療法」がもっとも有効です。
これは、前立腺がんの成長が、男性ホルモン(テストステロン)によって加速されるため、それを抑えてがんの増殖にブレーキをかけようとするものです。
かつて、男性ホルモンの分泌を抑えるには、精巣(睾丸)を切除する「去勢術」が行われてきました。しかし近年ではこれに代わって、女性ホルモンや抗男性ホルモンの投与、それに、下垂体に作用して男性ホルモンをいっきに放出させ、それによってふだんの男性ホルモンの量を低下させる薬物「Gn-RHアナログ」の投与のほうが一般的です。
これらの治療法はいずれも、男性ホルモンの分泌を抑えることによってがんの成長を停止させ、できればがん細胞を死に導くことを目的としています。
しかしこれを実行すると、男性の性ホルモンのバランスがくずれるため、さまざまな副作用が現れます。治療開始の直後には、悪心や嘔吐、過敏症、心電図の異常などが起こります。しかしもっとも典型的な副作用は、顔がふっくらしたり胸がふくらむなどの女性化、インポテンス(勃起不全)、それに禿げている場合は頭髪が生えてくるなどの症状です。
ただしこれらは、時間経過(数年)とともに目立たなくなります。現在では、検査法の進歩によって初期段階での発見が増えたため、ホルモン療法だけによる治療や、前立腺の切除とホルモン療法、それに放射線治療の併用によってほぼ完全な治癒も可能です。
5年生存率は、がんが前立腺の内部にとどまっている場合は70~90パーセント以上、前立腺の周囲に広がっている場合は50~70パーセントです。ただし、リンパ節や骨、肺などに転移した場合には、ホルモン療法と化学療法が唯一の治療法であり、5年生存率は20~30パーセントまで低下します。
しかし全般的には、前立腺がんはもっとも生存率の高いがんになっており、とりわけがんの進行が遅いため、高齢の患者では、がん以外の原因で死亡する人のほうが多いほどです。
近年では、少量の放射性物質を微小なカプセルに詰め、患部に埋め込む「小線源治療」が注目を浴びています。この治療はアメリカではすでに1990年頃から実施され、高い治療効果を上げていました。
日本でも放射性イリジウムを使って治療されてきましたが、最近アメリカで主流の放射線源であるヨウ素125の使用も許可されました。小線源治療では性機能の温存率が70パーセント以上に向上するとされており、今後は国内でも、広く選択されるようになると思われます。
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