介護保険サービスは、日常生活を送るうえで介護や手助け、見守りなど、支援が必要な人に対して、人的サービスや福祉用具などを提供する公的な制度です。
このサービスを利用できるのは、原則として65歳以上で体力が弱っている人です。ただし、40～64歳までの人で、脳血管疾患や関節リウマチなど老化が関係する病気を持っていたり、末期がんの状態にある人も利用できます。
サービスの内容は、自宅での生活を支える居宅サービスと、介護施設などに入所して受ける施設サービスに分けられます。がんの治療後の療養生活においては、居宅サービスを利用するケースが多いことでしょう。
必要な用具や専門職のサポートが常に揃っていた入院中と異なり、自宅での生活では何かと不自由が生じがちです。退院後に介護など何らかの支援が必要だと感じたら、入院中に、病院の医療相談室などに相談して、介護保険の手続きを検討してもらいましょう。
■介護保険の主な居宅サービス
<自宅に訪問して行うサービス>
・訪問介護
ホームヘルパーが訪問し、調理、掃除などの家事の援助や食事、排泄、入浴など日常生活の介助、介護を行います。
・訪問看護
看護師が訪問し、医師と連携をとりながら、体調や医療機器の管理助言などを行います。
・訪問入浴介護
入浴が困難な人に対し、簡易浴槽を積んだ移動入浴車などで訪問し、入浴サービスを提供します。
・訪問リハビリテーション
看護師やリハビリスタッフが自宅に来て、リハビリの指導をします。
・居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師、栄養士などが訪問し、サポートします。ケアプランには組み込まれず、医師などの指示で行われます。
<日帰りで利用するサービス>
・通所介護(デイサービス)
デイサービスセンターなどへ通い、食事・入浴や、日常生活の支援、機能訓練などを受けます。
・通所リハビリテーション(デイケア)
デイケアセンターや、介護老人保健施設、医療機関などに通い、リハビリテーションを受けます。
<一時的に利用するサービス>
・短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)
介護保険施設などに短期間入所するサービスです。家族の介護負担軽減の目的でも利用されます。
<環境整備のためのサービス>
・福祉用具貸与
車椅子や電動介護ベッドなど、身体機能を補う福祉用具のレンタルを行っています。
・福祉用具/購入費受給
腰掛便座、特殊尿器など、一部の福祉用具の購入費を支給します(上限額あり)。
・住宅改修費支給
手すり取りつけなどの費用を支給します(上限額あり)。
■介護保険の申請の手順
介護保険サービスは、事前に「要介護度(介護がどの程度必要な状態か)」をはかる調査を受け、その必要性が認められた場合に初めて利用が可能になります。要介護度は、市区町村の介護認定審査会で判定されます。この要介護度によって、受けられるサービスの内容や量の上限も決められます。
そのため、サービスを受ける前に、公的な機関である地域包括支援センターや、民間の居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー(介護支援専門員)に、ケアプラン(利用計画表)を作成してもらいます。
ケアマネジャーは、ヘルパ一事業所との連絡・調整も担当し、介護サービス利用を支援してくれますが、利用者側には費用はかかりません。訪問介護、訪問看護、通所リハビリといった介護サービ、スを実際に使った場合に、利用者はかかった費用の1割を負担します。なお、「非該当(サービスの対象外)」と認定された人でも市区町村で設けている独自のサービスを利用できることもあるので、市区町村の福祉窓口や、お住まいの地域にある地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
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