日本では、CTをはじめとする放射線を利用した画像診断が世界的に突出して利用されており、それががんの発症率を高めている可能性があるということを言う人がいます。
これは、2004年初め、世界的に著名なイギリスの医学雑誌「ランセット」が、このような内容の論文を発表したことが発端になっています。現在、日本国内にはCTを使用している病院が9900施設以上、CTの数は1万1050台に達し、
世界全体のCTの約半分を占めていると見られます。
検査回数は年間3655万回で、これは1000人当たり290回にのぼります。国連・科学委員会の2000年の調査では、CTによるX線被曝線量も日本が世界で突出しているといいます。とくに胸部直接撮影と上部消化管の撮影が際立っており、検査全体から受ける被曝線量の合計も世界トップとされています。
国民1人当たりの被爆線量は2.3ミリシーベルトで、1989年の3倍。これは、胸のX線復影を年間150回受ける量に相当します。私たちはふだん、宇宙からやってくる放射線や周辺の自然界の放射線を被爆しています。またがんは、放射線被曝以外の原因でも発症します。したがって、日本人のがんのうちどのくらいがCTなどのX線検査によるものか、正確にはわかりません。
しかしこの報告では、さまざまな計算から、日本人のがん発症者100人のうちの3.2人は、放射線検査が原因だと推測しています。つまりがん患者30人に1人はCT検査によってがんを発症したとされたのです。日本の数値は欧米の約3倍にのぼります。ただしこれは、実際にCTが原因となってがんになった患者を数えた結果ではなく、さまざまなデータから確率的に推測したものです。
日本で頻繁にCTが用いられる理由は、いくつか考えられます。
①前記のように医療機関のCT普及度がきわめて高く、医療機関は高価な設備投資の費用を早く回収しなくてはならない、
②がんの早期発見の重要性が強調され、日本社会にそのような考えが浸透している、
③誰もが健康保険によって安価かつ気軽にCT診断を受けることができる、などです。
しかし、CTはきわめてすぐれた診断技術であり、いまではCTを抜きにした医療は考えられません。したがって、CTによって得られる恩恵と放射線被曝というリスクとのバランスを、医療機関も一般社会もつねに考える必要があります。日本医学放射線学会は、過剰な検査を防ぐためのCT検査の指針づくりを始めています。
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