乳がんの遠隔転移がわかった段階で、症状が出ていなくても抗がん剤による全身治療をすべきかどうかについては専門家の間でも議論があります。
その時点で抗がん剤を使っても、延命につながる可能性がそれほど高くないうえに、薬に対する抵抗性ができて、症状が出たときに必要な薬が使えないことがあるからです。
症状が出ているときは、その症状を除去したり緩和する治療を優先しますが、ほどなくほかの部位にも症状が出てくることを考えて、同時に全身療法をすることもあります。全身療法としては、ホルモン受容体が陽性であればまずホルモン療法を行います。
ホルモン療法は副作用が少なく、効果が出たときは、効果の持続期間が長いからです。しかし、肝臓に何カ所も転移したり、がん性胸膜炎を起こしたときは、生命の危険が迫っているので、抗がん剤からスタートします。転移した局所の治療では次のような方法が行われます。
■肺、胸膜
がん性胸膜炎では、胸に針を刺して、たまった水を抜きとりますが、何度もたまる場合は、胸腔という胸のすき聞に癒着剤を注入して、胸腔を癒着させることもあります。
せきが出ているときはせき止めを使います。しこりができたときは、切除して肺転移によるものかどうか調べることもあります。
■骨
放射線療法を中心に治療しますが、骨折が起こった場合は、部位によっては痛みの改善のためにも機能の回復のためにも手術を行います。また、骨からカルシウムがとけ出すのを防ぐためにビスホスホネート製剤を定期的に点滴していきます。
■肝臓
通常は抗がん剤などの全身治療を行いますが、転移が限局している場合はラジオ波などによる治療をまれに手術を行うこともあります。
■脳
放射線による全脳照射が基本になります。状況により外科手術による切除やガンマナイフ(ガンマ線を一点に集める治療装置)を使った手術も併用して行います。
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