リンパ節郭清とは、リンパ節が含まれる脂肪ごとに一塊に切除することで、取り出した後で脂肪の中に埋まっているリンパ節を探してがん細胞がいないかを検査します。
乳がんの場合は、最も乳房に近いのが脇の下(腋窩)のリンパ節であり、最初にがん細胞がたどり着く場所です。
したがって、乳管の外に広がったがん(浸潤性乳がん)で術前に触診と画像診断でリンパ節転移を疑う場合は、腋窩リンパ節郭清を行って転移していないかを調べます。腋窩のリンパ節郭清は1番転移しやすい外側のレベルⅠから順に行います。
リンパ節郭清では取り出したリンパ節の個数は問題ではなく、どの範囲まで郭消したかが重要です。
たとえば、レベルⅠからⅡまでを郭清すると、普通10数個~20数個のリンパ節が取れますが、その個数は患者さんにより違うので、数が多く取れたからよいというわけではなく、レベルⅠ~Ⅱの範囲がきれいに切除されていれば問題ありません。
20年前まで、レベルⅠ~Ⅲまで郭清することが一般的で、ときに胸骨傍リンパ節も郭清することがありました。しかし、広く郭清しても生存率などに変わりはなく、むしろ腕のむくみなどの後遺症が強く出ることがあるため、現在郭清する範囲はレベルⅠ~Ⅱまでにとどめ、レベルⅢに明らかな転移がある場合以外にはレベルⅢの郭清はしていません。
また、大胸筋と小胸筋の間にもリンパ節(「ロッターリンパ節」と呼びます)がありますが、さわってみて硬くなければリンパ節郭清は行っていません。
■なぜ、リンパ節を郭清するのか
手術でリンパ節を郭清する理由は2つあります。1つは、リンパ節の転移の個数(程度)を調べるという診断の目的であり、もう1つは、腋窩リンパ節再発を防ぐという局所治療の目的です。
腋窩リンパ節転移の個数の情報は、再発の危険性を予測し、薬物療法の方針を決める上で、今でも有力な手がかりになります。一方、腋窩リンパ節郭清に、全身への転移を予防するという治療の目的があるかどうかさまざまな議論がありましたが、集学的治療の現在において、あくまでも局所治療としての意義しかなく、薬物療法のような全身治療の意味はありません。
がん細胞が乳管の中にとどまっている非浸潤性乳がんの場合には、リンパ節郭清を行う必要はありません。ただし、針生検で非浸潤性乳がんと診断されても、マンモグラフィ上で広い範囲に石灰化像を認めるようなものや、あたかも浸潤性乳がんのようにシコリをつくるようなものでは、数ミリ程度の小さな浸潤性乳がんが存在することがあります。
この場合は、まずセンチネルリンパ節生検を行って、もしリンパ節に転移があれば腋窩リンパ節郭清を行います。
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