一般病院が、患者の延命を目的とした治療の場であるのに対し、「ホスピス」は、病状が進んで回復の見込みのない患者が、人生の最終章をなるべく人間らしく過せる場として用意された施設です。
もちろんがんだけではなく、エイズなどの病気に対しても、終末医療を目的としたホスピスが存在します。また近年では、病院内にホスピスと同様の役割をもたせた「緩和ケア病線」を設けている施設も増えています。
ホスピスの活動目的はがん患者自身に向けられており、「その人らしく生きられる環境」を提供することに重点がおかれます。ホスピスは、患者が肉体と精神の苦痛から少しでも解放され、快適な時間を過ごせるように援助する場です。(原則として治療は行いません)
末期のがん患者の場合、大きな問題となるのは痛みです。現在、がんの痛みを和らげる方法の国際基準となっているのは「WHO方式がん疼痛治療法」と呼ばれるものです。これは、主要な鎮痛剤としてモルヒネを用いる方法で、基本的にはすべてのホスピスがこれを採用しています。
ただし、痛みの緩和のみを希望する患者は、全国に1万カ所以上ある「ペインクリニック」を訪れることもできます。痛みの緩和以外の問題は自分自身で解決したいと考える人には、これらの施設が適しているかもしれません。
2004年現在、日本国内で130カ所以上に達しているホスピスや緩和ケア病棟がこれらの施設と違うところは、単に痛みを緩和するだけでなく、患者ががんになったことで生じた不安や悩み、死へのおそれを和らげるなどの精神的な支援を行うことです。そして、患者自身が最期を迎えるのに好ましいと思える環境を提供するのです。
ホスピスでは、医師や看護師の他、ソーシャルワーカー、心理療法士、ボランティアなどが協力し合って患者を支援することが原則です。ホスピスによっては、それまで共に生活してきたペットと過ごしたり、ときには、患者が希望する民間療法を取り入れることも可能です。
ホスピスの経営者は伝統的にキリスト教系の病院であることが多いようですが、患者の信仰の自由は制限されません。一般には、ホスピスは入院費が高いというイメージがあるようです。
厚生労働省が認可してるホスピスや緩和ケア病棟の入院費用は、病状にかかわらず、1日3万8000円です。これは健康保険診療の対象となるので、患者の自己負担(30パーセント負担の場合)は、1カ月約34万円になります。
また高額療養費制度も適用されるため、一定の基準にそって算出された金額(自己負担限度傾)を超えた分は、申請することにより後で還付されます。さらにがん保険も適用されます。これらの条件がそろった場合、ホスピスへの入院費用は一般病棟とあまり変わらないと考えることができます。
問題は、たとえ本人がホスピスでの終末医療を求めても、入所できるとは限らないということです。現状では、ホスピスや緩和ケア病棟が受け入れることのできる患者数は、1年間のがん死者(約30万人)のうちわずか数パーセントにすぎません。がんで死ぬ人が3人に1人に達したいま、ホスピスのケアの内容が充実するだけではなく、施設の数が増えることも望まれています。
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