がん治療を困難にする根源的な問題は、「がん細胞が患者の体の一部だ」ということです。
ウイルスや細菌などの病原体が外から体内に入ってきて引き起こす病気(感染症)の場合、治療の考え方は、ある意味では単純です。それらは人体にとって"異物"なので、その異物を完全に排除できれば、少なくとも病気の原因は消滅したことになります。
たとえば抗生物質を服用すれば、抗生物質は体内で病気を引き起こしている細菌や一部のウイルスを殺し、それによって病気を治療したことになります。ところががんの場合、がん細胞は異物ではありません。
人間の体の正常な細胞がもつ遺伝子にわずかな異常が生じたために生み出された"変種の細胞"です。この細胞は、周囲の組織や臓器にはおかまいなしに分裂・増殖します。
1個の細胞は、肉眼では見分けられないほど小さい(20~30個を1列に並べてようやく1ミリ程度)ので、正常な細胞とがん細胞の違いは、顕微鏡でくわしく観察してみないとわかりません。
そして、このようながん細胞を殺そうとして、抗がん剤を投与したり放射線を照射すれば、がん細胞も正常な細胞も同時に、損傷したり死んだりします。これががんの治療を困難にする大きな理由です。したがって有効な治療法とは、無数の正常な細胞の中でがん細胞だけを選んで攻撃するものでなくてはならず、そのような治療法を見つけることは容易ではありません。
次に「がんは転移する」という特徴があります。がん細胞は、最初に発生した場所からはがれ落ちて血液やリンパ液に混じり、全身をめぐります。その途中で別の臓器に付着し、そこでふたたび増殖します。これががんの転移です。
極論すると、がんは転移するから治療が困難なのだともいえます。もし転移しなければ、それは最初の発生場所(原発部位)で増殖するだけであり、現在の治療法でも治癒するはずです。がんで命を失った人々は、ほとんど例外なく、転移によってもはや治療不能に陥ったために死亡した、ということができます。
そこで、どうすればがんの転移を抑えられるかが、現在のがん医学の最大の課題のひとつになっているのです。
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