遺伝子の正体がDNAと呼ばれる分子であり、それが「二重らせん」構造をしていることが判明したのは、1953年になってからです。
それ以前には、遺伝子の正体も、それが全身の細胞核に存在することも知られておらず、遺伝子が病気の原因になり得るという認識もありませんでした。そして、驚くべきことに、アメリカの科学者がこのことに注目したきっかけは、太平洋戦争末期に原爆投下の被害を受けて生き残った日本人被曝者の調査にありました。
被曝生存者の調査では、科学たちはとくに被爆から20年以上たってがんを発症した人々をくわしく調べ、重大な発見をしました。これらの人々の遺伝子をつくっているDNAが、奇妙な変異を示していたのです。その後、初期の頃のX線技師が皮膚がんを多発したこともわかりました。
彼らはまだX線についての十分な知識がなく、放射線を出す物質にたびたび手を触れていたのです。他にも類似したデータがありました。これらのデータから科学者たちは、「正常な細胞ががん細胞に変わるのは、細胞内の遺伝子に問題が生じるためだ」と考えるようになったのです。
そして1980年代になると、このことはもはや疑問の余地なく世界の科学者、医学者に受け入れられるようになりました。それもたった1個の遺伝子の変異ではなく、正常な細胞の中でがんに関係のあるいくつかの遺伝子の変異が蓄積したときに、はじめて本当のがん細胞が出現すると考えられるようになったのです。
さらに、がん細胞中の遺伝子を調べることによって、がんの特徴的な性質が次々に明らかにされていきました。がん細胞がどうやって増えるのか、なぜ増殖を止めないのか、どうしていつまでも死なないのか、なぜ悪性度を増していくのか、どうやってまわりの組織に浸潤するのか、どのようにしてもとの組織を離れて転移するのか？こうした数々の疑問に対する答えを、遺伝子とそれが指令してつくり出すたんぱく質のはたらきによって説明することができるようになったのです。
これらの知識を実際のがん治療に活かしていくには、まださまざまな困難があります。しかしすでに、がん細胞を自殺させる遺伝子や、がんに対する免疫力を高める遺伝子などを用いた遺伝子治療が始まっています。
また、遺伝子やたんぱく質の研究に基づいて、がん細胞だけを攻撃する薬も次々に開発されています。がんについては多くの問題がいまだ解明されてはいません。
・・・
どうすれば、がんは治せるのか！？
標準治療（手術・抗がん剤・放射線）に耐え、代替療法も活用すれば・・・
本当にがんは治せる？
詳しくはこちらのページで
こちらのページで明らかにしています。