腫瘍細胞は大量の栄養を必要とします。
腫瘍細胞が増殖して直径1ミリ以上の固まりになると、そのままでは内部に栄養や酸素が届かなくなります。このような状態になると、腫瘍細胞は中心部分から死滅すると見られています。
そこで、腫瘍細胞がそれ以上増えるには、栄養と酸素を補給する新たな血管を、自分の内部に呼び込む能力を獲得しなければなりません。これに成功した腫瘍のみががん化への道をたどり、急速に増殖し始めると考えられています。血管は一般に3層構造をなしています。
チューブ状の構造をつくる性質をもつ細胞(内皮細胞)の上を固形分子の膜がおおい、そのまわりをさらに筋肉細胞が取り巻いているのです。多くのがん細胞は、内皮細胞、つまりチューブをつくっている細胞の増殖を促す物質を分泌します。
これによってがんの内部には新しい血管がつくられ、がんを成長させるための十分な栄養を送り込むことができるようになります。血管の成長を促すこのような物質の遺伝子は、がん遺伝子によってはたらき始めることがあります。
他方、がん抑制遺伝子には、この遺伝子の発現を抑えるものもあれば、逆に新しい血管の成長を抑える遺伝子を発現させるものもあります。あたかも増殖するためだけに生き続けるように見えるがんは、血管がなくては生きていけません。
そこでこの性質を利用して、血管の成長を促す物質のはたらきを抑えたり、逆に成長を抑える物質を用いて新しい血管がつくられないようにすれば、がんの増殖を抑えることができるはずです。わずかな例外(ケガの修復時や女性の月経時など)を除けば、健康な成人において血管が新しくつくられることはまれです。
そのためこのような性質をもつ薬(血管新生阻害剤)を開発すれば、有効でかつ副作用の少ない抗がん剤になる可能性がある、というわけです。
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