現在使用されている抗がん剤は100種類以上にのぼり、それらは大きく8つのグループに分けられます。
このうちもっとも歴史の古いものが「アルキル化剤」と呼ばれる一群の抗がん剤です。がんの化学療法はまずアルキル化剤から始まったといえるくらいです。アルキル化剤は体内に入ると活性化する物質です。
この薬のアルキル基と呼ばれる部分が、細胞内のDNAとたいへん反応しやすくなるのです。DNAとは生物の遺伝情報をもつ物質です。細胞内では長い鎖状のDNAが2本で1組になり、らせんのようにねじり合っています(二重らせん)。アルキル化剤はこのDNAの一部をアルキル基と交換したり、2本の鎖の間や2本鎖どうしの間を橋渡ししたり(架橋)、鎖そのものを切断するので、がんの遺伝情報が変化したり壊れたりします。
その結果、がん細胞はDNAを複製できなくなったり娘細胞に誤った遺伝情報を伝えるようになり、しだいに数が減っていきます。さらに、アルキル化剤はDNAの複製をさまたげるだけではなく、すでにでき上がっているDNAやRNAにも作用します。
そのためこの薬は、がん細胞が細胞周期のどの時期にあるかとは関係なく効果を発揮します。代表的なアルキル化剤に「ナイトロジェン・マスタード」があります。これは第一次世界大戦中にドイツが使用した毒ガス兵器として知られるマスタードガスをもとにしてつくられた薬剤です。
マスタードガスは白血球を減少させる作用があったことから、これに手を加えれば白血病に効く薬ができると考えられたのです。この試みは成功し、ナイトロジェンマスタードはいまではおもに悪性リンパ腫(リンパ系のがん)で20代後半の発症者が多いホジキン病に使用されています。
もうひとつのたいへんよく使われているアルキル化剤に、ナイトロジェン・マスタードの仲間、「シクロホスファミド」があります。この薬は悪性リンパ腫や白血病をはじめとするさまざまながんに対して使われています。しかしシクロホスファミドは、大量に使用した場合、出血性膀胱炎や心不全などの重い副作用を起こすことがあるので、使用に注意が必要です。
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