甲状腺がんはがんの種類や性質がさまざまなため、治療法の選択は複雑です。
たとえば、日本でもっとも多い乳頭がんが直径1センチ以下で見つかった場合(非危険がん)、ただちに手術をするのではなく、半年ごとに検査を続け、成長しているようなら、甲状腺の半分~3分の2を慎重に切除するなどの方法がとられます。
これは、乳頭がんの危険度が低いので、なるべく手術後の生活の質を良好に保つためです。もっとも、欧米では一般に、甲状腺がんが見つかったときにはただちに、甲状腺とその周囲のリンパ節をすべて摘出してしまいます。日本でも、この方法をとる病院もあります。
一方、高齢者に多い危険な乳頭がんの場合は、甲状腺だけではなく、周囲の気管や神経まで切除することになります。このような状況では肺や骨に転移していることが多いので、放射線治療や化学療法が併用されます。
幸い、悪性乳頭がんでもっとも多い肺への転移は進行が遅く、転移から10年たっても明確な症状が現れないこともあります。濾胞がんは、乳頭がんよりさらに局所的な浸潤やリンパ節への転移が起こりにくく、手術による完治の確率が高くなります。
ただし、血流によって肺や骨に転移する確率は乳頭がんより高くなります。この転移が起こったときには、甲状腺の全摘手術後に、微量の放射性ヨウ素が投与されることがあります。放射性ヨウ素は、甲状腺の細胞に集まる性質をもっています。
そこでこの性質を利用して、がんの転移先を確認するという、甲状腺がんに特有の処置です。さらに、同じしくみを利用し、高濃度の放射性ヨウ素を投与して、ヨウ素の放出する放射線で転移した甲状腺がんを治療することもあります。
この場合は、甲状腺の摘出後、まず2週間ほど、代謝速度の速い特殊な甲状腺ホルモンを補充し、さらに2週間、今度はホルモンを補充せず、体を甲状腺ホルモンの材料であるヨウ素が飢えた状態にします。
ここに放射性のヨウ素を投与すると、ヨウ素はいっきに転移病巣に集中するため、治療効果が高まります。髄様がんの治療は、甲状腺全体を切除するとともに、首のリンパ節をも取り除きます。甲状腺の悪性リンパ腫の治療は、一般の悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)に準じ、放射線治療や化学療法を行います。
甲状腺がんでは、非危険がんが全体の80パーセントを占めています。これらの患者の5年生存率はたいへん高く、治療後の生活の質もよい状態を維持できます。
しかしこれとは対照的に、危険がんの5年生存率は非常に低く、とりわけ未分化がんの患者の90パーセントは、半年~1年以内に死亡しています。最近、未分化がんに対して数種類の抗がん剤を組み合わせる化学療法が行われるようになり、延命効果が見られると報告されています。
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