治療法としてはいまのところ、がんの大きさにかかわらず、片方の腎臓の全摘出(病状によっては周辺組織も切除)が一般的です。
たとえ肺や骨に転移している場合でも、しばしば腎臓は摘出されます。手術によってがんに侵された片方の腎臓を摘出しても、残されたもう片方の腎臓が2個分のはたらきをするようになるので、手術によって患者が衰弱することはありません。
原発巣である腎臓を除去すれば、転移した部分を免疫療法や外科手術で治療することにより、延命効果が得られます。ただし、病巣の直径が4センチ以下で、がんが腎臓の縁の部分に限局している場合は、部分切除でも治療効果を得ることができます。
腎臓の摘出が不可能な場合には、腎臓に入る血管をふさぎ、がんへの血液供給を断ってがんを餓死させる方法(動脈塞栓術)もあります。またがんが腎臓内に多発している場合は、インターフェロンやインターロイキンによる免疫療法が行われます。
腎臓がんには抗がん剤はほとんど効果がありません。また、腎臓がんの遺伝子治療が承認されていますが、これは、腎臓がんの末期に至ってがんが体のあちこちに転移している患者に対するものです。
治療では、まずがんが生じている腎臓を摘出し、その中のがん細胞に免疫力を高める物質をつくり出す遺伝子を組み込んでから、体内に戻します。腎臓がんの5年生存率は、腎臓とそのまわりの組織にがんが限定されているうちに発見された場合には、90パーセントに達します。
しかしがんが直径5センチ以上になっていたり、すでに転移しており、発熱や体重減少などの症状が現れている患者では、5年生存率は急速に低下します。このがんは例外的に再発が遅く起こることが知られており、最初の治療後10～20年にわたって、つねに再発の危険性があります。
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