乳がんがホルモンと無関係に成長する場合には、抗ホルモン剤は有効ではないので、抗がん剤を使用します。
抗ホルモン剤の効果があるときも、がんの悪性度が高いときには、抗ホルモン剤と抗がん剤を併用することがあります。一般的に、がんが早期で悪性度が低いときに化学療法を行う際には、副作用の軽い抗がん剤が選択されます。
いっぽう、進行がんで悪性度が高いときには、ある程度重い副作用が予想されても、強力な効果をもつ抗がん剤や、臨床試験段階の新薬が用いられます。代表的な薬の組み合わせとして、CAF療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、フルオロウラシル)や、植物アルカロイドのタキサン系の薬(パクリタキセル、ドセタキセル)の単独使用、またはCAFとタキサンの併用が行われます。
また、これらの薬では治療効果が見られない場合には、新しい抗がん剤「カペシタビン」(代謝拮抗剤)や「ビノレルビン」(植物アルカロイド)を、単独もしくは他の薬との併用で用いることもあります。
乳がんに「HER2」という遺伝子が数多く発現しているときには、がんの悪性度が高く、進行が速いという特徴があります。その場合、「トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)」という新しい薬(分子標的薬剤)の効果が期待できます。
トラスツズマブは、HER2のつくるたんぱく質に結びつくことにより、がん細胞の増殖を促す信号をさまたげます。また、免疫細胞ががん細胞を殺すための目印になるとも考えられています。
まだ小規模な臨床試験の段階ですが、最近、転移した乳がんに対して、「ビノレルビン(商品名ナベルビン)」とトラスツズマブを併用すると、高い治療効果(奏功率75パーセント)が得られると報告されています。
乳がんの治療には非常に多くの選択肢があり、効果の高い新薬も次々に登場しています。そこで、治療のための国際的なガイドラインもつくられています。しかし、病院や医師によって治療方針に差があり、より試験的な手法を試みる施設もあれば、効果は限定されていてもより安全性の高い(副作用の低い)手法を選択する施設もあります。
いずれの場合でも、患者は医師と話し合い、納得したうえで治療を受けることが必要です。また、新しい薬が他の薬よりも効果があることが示されたとしても、長期的な副作用については明らかになっていないことを理解しておくべきでしょう。
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