乳がんが臓器に転移した場合に行われる放射線療法の代表格は、骨転移と脳転移への放射線治療です。
骨転移に対して放射線治療は、疼痛(痛み)の改善に有効です。また、脳転移は抗がん剤やホルモン剤は効かないので、他の臓器に転移がない場合や薬物療法によって他の臓器の転移が十分にコントロールされている場合であれば、手術や放射線治療が検討されます。
最近は、乳がんが脳に転移したときの腫瘍が限られた範囲の場合には、特殊な放射線治療としてガンマ・ナイフなどを用いた集光照射という放射線治療も行われています。
いずれにせよ、転移した臓器への放射線療法の目的は症状の緩和であり、治癒する可能性は極めて少ないのが現状です。一方、放射線の副作用とは、放射線があたった領域に含まれた臓器に炎症が起こることが原因です。よって、その臓器に特有の症状が出現してきます。
たとえば、腰椎に放射線をあてた場合はその近くの皮膚や消化管の炎症から、ときに腹痛や下痢が起こることもあります。放射線は同じところに2度照射すると、著しく副作用が増加しますので、原則的に2度照射はできません。
ただし、例外として脳転移の場合には最初に全脳照射をした後で、さらに脳の一部分に限って行う定位照射という放射線療法を行うことがあります。
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