痛みのケアが大切なのは、がんの治療に直結しているからです。
痛みを止めた方が体力や精神力が回復し、免疫力も上がって、安心して積極的な治療を受けられます。
がんの痛みの多くは、WHOの「がん疼痛治療法」によって緩和されるようになりました。痛みの緩和の基本は、鎮痛剤を規則正しく服用し、痛みを我慢せず、十分な治療を受けることです。
疼痛治療として、薬物を使う場合には、座薬や注射薬ではなく、経口薬を第一次選択として、鎮痛作用がきれる前に定期的に薬を投与しますが、次のような基本原則があります。
1.経口投与、
2.一定時間ごとに行う投与、
3.痛みの強さに対応した段階的に強い鎮痛剤を投与、
4.患者個々に対応した量の調節、
5.副作用対策などです。
WHOのがん疼痛治療法では、鎮痛剤の使用法を3つの段階に分けて行っていきます。
痛みが軽い場合には、第1段階の治療として内服から始めます。
がんは組織を破壊し炎症を起こすため、第1段階では、アスピリンやインドメタシンなどの炎症反応による痛みを抑える薬であるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が用いられます。
ただし、消炎鎮痛剤は胃を悪くすることがあるため、胃の調子の悪いときなどには比較的胃にやさしい薬が勧められます。がんが進行すると非ステロイド性抗炎症薬が効かなくなり、痛みがとれなくなると、モルヒネやリン酸コデインなどが使用されます。
また、がんが神経を圧迫して起きる神経性疼痛は鎮痛補助剤を用います。
鎮痛薬には抗けいれん剤、向精神薬、抗不安薬、筋弛緩薬、抗うつ剤、副腎皮質ホルモンなどがあります。
第1段階の疼痛緩和が効かなくなると、NSAIDsと併用して、リン酸コデインを用いる第2段階へ移ることになります。コデインは麻薬ではないので使いやすい反面、モルヒネの作用を弱める働きもあります。
この第2段階でも効果が得られない場合には、第3段階に進み、モルヒネの内服を開始します。モルヒネは経口薬の他、座薬、注射薬などでもケースに応じて使っていきます。
モルヒネを服用する際に気をつけることは便秘と吐き気ですが、弱い下剤や制吐剤を併用してこうした副作用に対応しています。モルヒネには抵抗のある患者も多く、使いたくないという人もいるのですが、痛みの治療に使う場合には依存性はなく、WHO方式に従って服用するため危険な要素はありません。
モルヒネの投与量を加減すると痛みのコントロールが不十分になってしまいます。
消炎鎮痛剤やモルヒネなどは、体を動かしたときの痛みや傷の処置を受けたときの急性の痛みには効きにくいという難点があり、その場合には神経ブロックを利用した第4段階の治療を行っています。
飲む鎮痛薬は全身に広がって作用しますが、局所の激痛にはピンポイントで神経伝達を遮断する神経ブロック療法が効果的なのです。
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