日本には公的医療保険があります。
保険料を払っておけば、どんな人も標準的な治療を受けることができるようになっています。日本の公的医療保険には、いくつかの種類があります。会社員がはいる「健康保険」と、退職した会社員や自営業の人がはいる「国民健康保険」などが代表的です。
しかし、保険の種類によって手つづきの窓口や、サービスの内容にちがいがあることがあるので、がんの治療にはいるまえに、いちど確認しておく必要があります。公的助成や公的支援を活用するためには、やはり専門家を頼らなければなりません。
大切なのは、治療を受けるまえに専門家と相談しておくことです。緊急事態がおきて救急車で運びこまれたりしたときにも、手をこまねいていないで、できるだけ早く専門家に相談するようにしましょう。がんの治療では、お金の問題がいちばん深刻なことを忘れるべきではありません。
相談する先は、それぞれの病院の相談窓口、がん拠点病院の相談支援センター、ソーシャルワーカー、住んでいる自治体の相談窓口、勤務先の保険担当窓口になります。自治体の相談窓口の情報は、ネットで調べられることもあり、なかには地域独自の制度もあるので、調べてみる必要があります。
いろいろな制度のなかには、患者本人の所得だけでなく、家族の所得が関係するものもあります。だから家庭の状況から見て、活用できる制度がないかどうかも相談してみましょう。
問題は新しい治療をはじめたり転院したりするときの治療費が変わることで、こんなときにも活用できる制度がないかどうかを相談すべきです。現在の日本では、だれもが医療費の一部を負担することになっています。
医療費の負担額は原則として3割になっていますが、年齢によるちがいがあり、7O歳以上から75歳未満までは2割、75歳以上は1割となっています。ただ7O歳以上でも、月収が53万円以上(年収6OO万円以上)ある人は、3割負担とされています。そのほか障害者は1割で、未就学の子どもは2割です。
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