人間のからだは、約6O兆個の細胞から成り立っているといわれています。
その1つひとつが、お互いに情報交換をし合い、秩序を持って増殖・分裂をし、新陳代謝を繰り返しています。いわば、規則正しい社会を形成しているのです。
ところが、こうしたルールをいっさい無視して無制限に増え続けようとするのが、がん細胞です。たとえば、転んで膝をすりむいたとしましょう。何日かすると、傷口は新しい皮膚でおおわれて治っています。もちろん、そこには複雑なメカニズムが働いているのですが、傷を修復しようと細胞が分裂して増えるからです。
そして、傷口の修復を終えると、正常の細胞は増えることをやめます。ところが、がん細胞は"けが"の修復といった目的もなく、増殖のスイッチがオンになったまま、いつまでも増え続けるのです。
ちなみに、増殖はするけれどある程度のところで止まるのが、良性腫瘍です。
さらに、普通の細胞はそれぞれに居場所が決まっていて、そこでしか生きていけません。胃の細胞が腸に落ちて、増えるということはないのです。ところが、がん細胞は寿命が長く、1個でもしばらくの間、生きていけます。また、別の組織にくっつく能力や溶かす能力を持っています。
そのため、どんどん増えると、やがて周囲の組織に食い込んで増えていったり、がんの病巣からぽろりと落ちて血管やリンパ管に入り、そこから別の場所に流れ着いて、そこでまた増殖していきます。
周囲の組織に食い込んで増えていくのが「浸潤」、ほかの組織に"飛び火"することが「転移」です。この「浸潤と転移がある」ことが、がん(悪性腫瘍)の特徴です。
一方、良性腫瘍には、こうした特徴はありません。しかも、正常の細胞はそれぞれに役目を持ち、胃の細胞ならば消化にかかわる仕事、肺の細胞は呼吸にかかわる仕事をしています。ところが、がん化した細胞は、こうした仕事をほとんど果たすことなく、ただひたすら増えていきます。
そして、無秩序で無制限な増殖が、やがて正常細胞の活動を妨げ、人間を死へと追い込んでいくのです。といっても、がん細胞には、まったくもとの細胞の形跡がないというわけではありません。
がんとして"たち"がいいかどうか。これには、いろいろな判断基準がありますが、その1つに分化度があります。
細胞が未熟な細胞から1人前の細胞に成長することを「分化」といいます。がん細胞でもこうした分化が進んでいるもの、つまりもとの細胞に近い"顔つき"をしているものを「高分化型」といいます。
もとの細胞に似ているということは、がんとしてはわりあい"たち"がいいのです。逆に、かなり"顔つき"が変わっているものを「低分化型」といいます。こちらのほうが、がんとしては"たち"が悪いのです。
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