非浸潤がんとは乳管内にとどまっているがん、ステージ0のがんのことです。
乳がんの多くは、発見された時点ですでに乳管や小葉の壁を破って、周囲に浸潤しています。以前は非浸潤性の乳がんが見つかることは珍しかったのですが、最近は発見率が増加して、乳がん全体の約10%弱といわれています。
マンモグラフィー検診が普及している欧米ではさらに発見率が高く、30%近い報告もみられます。非浸潤がんは完全にがんをとりきることができれば、完全に治癒が可能ながんです。
ところが、非浸潤がんを放置した場合どのような自然経過をとるのかは、まだよくわかっていません。そのため、治療法が確立されていないのが現状です。一般に、非浸潤がんは、次のような理由から時間がたつと周囲に浸潤していくものと考えられています。
■非浸潤がんも浸潤がんも、ほぼ同じ部位に発生する。
■発症年齢のピークが、非浸潤がんは浸潤がんより約5年若い、つまりこの5年の差は非浸潤がんが浸潤する能力を獲得するのに要する時間と考えられる。
■非浸潤がんの切除後、再発する場合は、浸潤がんとなっている。
しこりになったり、血液のまじった乳頭分泌物が出るなど、臨床的にも明らかな非浸潤がんは浸潤がんの前段階といえます。しかし、マンモグラフィー検査などで見つかり、臨床的に明らかとはいえない非浸潤がんの中には、将来も浸潤がんにならないものがかなり含まれているといわれています。
乳がん以外の原因で死亡した女性を解剖したところ、6~18%の人に潜在的な非浸潤性の乳がんが見つかったという報告があります。かつて、片側の乳房に乳がんができた人に対して、もう一方の側の乳房を予防的に切除したことがありますが、臨床的に乳がんが見つからなかった場合でも、15~30%の人にはがんがあったとされています。
ところが、実際に両側の乳房に乳がんができるのは5~10%ですから、潜在的ながんのすべてが、浸潤がんになるわけではないということになります。この中には、一生涯、がんにならないものも含まれていると考えられています。
なお、非浸潤がんは単純乳房切除(乳房全摘)で治療されることが今でも少なくありません。これは、腋窩リンパ節や筋肉をそのままにして乳房だけを切除する方法です。
完全にがんをとりきることができれば、完全に治るがんだと考えられていますので、がんの再発リスクのある乳房温存療法を行うことは、問題とされています。
乳がんがより進んだⅠ期やⅡ期で乳房が残せるのに、0期の乳がんで乳房を失わなければならないのは矛盾しているという感じがぬぐえないかもしれません。
しかし、非浸潤がんの場合には放射線照射に対する反応も今ひとつであり、前述したように、乳房を温存したあと再発する場合には少なからず浸潤がんとなっているわけで、局所再発の多くは治癒の可能性が高いとはいえ、乳房を温存することで100%近い治癒率がそこなわれる選択には、慎重に進められるのです。
非浸潤がんを局所切除して、乳房を温存したあとは、放射線をかける場合とかけない場合があります。またホルモン療法(タモキシフェン内服)にも再発を抑える効果があることがわかっています。
一口に非浸潤がんといっても、悪性度などのがんの性質や乳房内の広がり状況はケースバイケースであり、これに対する治療法にも多くの未解決な問題があるため、担当医から治療方針をよく説明してもらい、納得のいく治療法を選びましょう。
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