1980年代以降、急速に広がった「食生活と発がん」の研究によって、脂肪分のとりすぎが発がんの危険性を高めることが浮き彫りになりました。
とくに動物性食品に多く含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取は、乳がんや大腸がんだけでなく、肺がん、膵臓がん、腎臓がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮がんの危険因子として注目されています。
肉類を中心とした欧米型の食生活が、肥満や循環器系の病気(心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、脂肪肝、高脂血症、高血圧など)を招くことはよく知られていますか、がん化の引き金となる要因でもあったのです。では、脂肪のとりすぎがなぜ、がんの発症に影響するのでしょうか。
はっきりした理由はまだわかっていませんが、乳がんの場合、女性ホルモンと脂肪酸との関係によるのではないかとみられています。肝臓で分解されたトリグリセライドなどの脂肪酸には、血液中のエストロゲン(女性ホルモンの一種)の産生を高める働きがあります。
つまり、血液中に大量に流れ込んだ脂肪酸がエストロゲンの作用を極端に強めることによって、がん化が促進されるといわれています。また大腸がんの場合、脂肪を消化するために分泌される胆汁酸が発がんを促進すると考えられています。胆汁酸は消化管内で脂肪の消化を助け、そのあとの大部分は小腸から肝臓に戻ります。
ところが、脂肪を多くとりすぎると肝臓に吸収されなかった分が大腸に達し、腸内細菌によって二次胆汁酸と呼ばれる物質に変化します。この物質が発がんに関わるとみられているのです。
さらに、脂肪の過剰摂取は免疫細胞の働きを抑制し、発がんを誘発するともいわれています。そこで、ムダな脂肪を体内にため込まないように気をつけることも、がん予防にとって重要になります。
日本人の動物性脂肪(主に肉)の消費量はまだ欧米並みではないとはいえ、その差は年々縮まってきています。食生活の多様化によって欧米型の食事スタイルがすっかり定着していますが、こうした現象ががんの原因にもなるということです。
脂肪と同様、たんぱく質の過剰摂取もがんの発生に影響を与えていることがわかりました。三大栄養素の1つとされるたんぱく質は、私たちの体を構成するほとんどすべての器官や臓器に含まれ、髪や筋肉、軟骨などの構造を形づくる基礎にもなっている重要な物質です。
たんぱく質は別種類のアミノ酸によって作られますが、そのうち人の体内では合成することができず、食品から摂取しなければならない種類のものを必須アミノ酸といい、主に動物性のたんぱく質(卵、牛乳・乳製品、肉など)にバランスよく含まれています。
ところが、このたんぱく質をとりすぎると、乳がん、前立腺がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、腎臓がんの発症率が高くなるといわれているのです。
ただし、動物性たんぱく質の豊富な食品には動物性脂肪も豊富に含まれている場合が多いためたんぱく質がどのような仕組みでがんの発生に関わっているのかについては、脂肪の場合のように明確な結果は得られていないのが実情です。
とはいえ日本人の場合、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の摂取量の比率はおよそ1対1です。肉食が主体のアメリカ人に比べてうまくバランスがとれているので、たんぱく質の過剰摂取による発がんの危険性は少ないと思われます。
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