植物の色素とともに、香りや辛みなどを作りだしている成分にもフードファクターとしての重要な役割があることがわかってきました。
なかでも注目されているのが、「デザイナーフーズ・プログラム」の頂点にあげられているニンニクをはじめ、タマネギ、ニラ、アサツキといったユリ科の野菜(ネギ属の野菜ともいわれる)に含まれるイオウ化合物です。
ニンニクやタマネギを刻んだりすりつぶすと、独特のツンとくる臭いで目や鼻が刺激されますが、それはこれらに含まれている刺激のもととなる物質がリナーゼという酵素の働きによって揮発性のイオウ化合物に変化し、強烈な臭いを放つようになるためです。
このイオウ化合物は、血小板(血液中の血球成分)の凝集反応を正常な状態に保つ働きがあることから、血栓(血液の塊)が作られるのを防ぎ、動脈硬化や心臓病、脳卒中など血管の病気に対して有効な作用をもたらします。そして、がんの抑制効果についても、ここ数年でさまざまなことがわかってきました。
たとえば、「アリルシステイン」「アリルメチルカプタン」、「アリルメチルスルフィド」、「ジアリルスルフィド」などのイオウ化合物は、とくに皮膚、大腸、乳、肝臓、肺、前立腺、胃などのがんに対して抑制効果を示すことが、動物実験で確認されています。
また人間についての調査でも、ネギ属野菜の摂取ががんを予防することを裏づけるデータがあります。イタリアと中国では食生活にニンニクなどのネギ属野菜を多くとり入れる習慣がありますが、とりわけたくさん食べる人たちには胃がんの発症率が低かったという調査結果が報告されています。
とくに強力な抗菌性を持つニンニクのアリシンというイオウ化合物は発がん物質を抑制したり、腫瘍細胞を縮小させたり、胃潰瘍や胃がんの発症原因とされるヘリコバクター・ピロリ菌の感染を防ぐなどの効果が示されています。
反面、熱に弱いという性質があることから、長時間煮込んだり高温で揚げたりすると、臭いといっしょに薬理作用も徐々に失われてしまうと思われていました。もちろん、ほかのイオウ化合物についても、長時間の加熱調理は向かないというのが従来の考え方でした。ところが最近、ニンニクを加熱すると「アホエン」という物質が新たに作られて、減ってしまったイオウ化合物の代わりに、強力ながん抑制効果や血小板凝集抑制効果を発揮することがわかっています。
現在、ニンニク以外のネギ属野菜にも、加熱の際に同様の物質が生成されるかどうか研究が進められていますが、少なくともニンニクに関しては、どんな調理法でも、すぐれたがん予防効果が期待できるといえます。
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