がんの治療と女性ホルモンの減少

がんの治療で、閉経前に両側の卵巣を摘出すると、女性ホルモンの急速な減少が起こり体に変化が現れます。

おもに子宮体がん(1b期以上)、卵巣がんの手術をした人などが該当します。平均的な閉経年齢は51～52歳です。通常、閉経前には更年期と呼ばれる移行的な時期があり、女性ホルモンの濃度が大きく変動します。

更年期の症状としてはまず月経不順が起こり、月経周期が短くなったり、長くなったりします。月経の持続期間や重さにも変化が生じます。この女性ホルモン減少に関する疾患には更年期障害、萎縮性腺炎、尿失禁などのほか、高脂血症や骨量減少・骨粗しょう症があります。

閉経前に両側卵巣摘出術を受けると、こうした月経の変動を体感することなく、女性ホルモン濃度が急速に閉経レベルに減少することになります(外科的早発閉経)。例えば、40歳で両側の卵巣を摘出すると、10年早く閉経を迎え、閉経後に起こる全身の変化を10年長く体験することになります。

したがって、術後のQOLを考えると、女性ホルモンの減少にともなって起こり得る動脈硬化、骨量減少・骨粗しょう症に対する自己管理は大切な問題です。

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