私たちの生殖器をつくっている細胞は、ホルモンの影響をとりわけ強く受けています。
そのため、生殖器にできたがんもまた、ホルモンの影響を強く受けます。つまりこれらのがんは、性腺がつくり出す性ホルモンが供給されないと成長することができず、がん細胞が死んでしまうのです。
しかし、厳密にいうと、すべての生殖器のがんにホルモン療法が同じような治療効果をもつということではありません。また、その効き方にも個人差があります。というのも、がん細胞の表面に性ホルモンを受け取る穴(性ホルモン受容体)がたくさんある人には、ホルモン療法はすぐれた効果を生み出すものの、そうでない人には、ほとんど効果がないのです。
例えば、男性の代表的な生殖器のがんといえば「前立腺がん」です。このがんは、アメリカの中年男性にとってはがん発症率のトップであり、日本人の男性にとっても近年、発症率が急速に高くなってきています。
そして、このがんを成長させる重要な栄養源が、男性ホルモンの一種、テストステロンです。そこで、患者の体内を循環しているこのホルモンの量をかぎりなくゼロに近づけると、前立腺がんは実際に成長が止まり、縮小していきます。
(がんが治癒したのではありませんが)では、どうすればテストステロンをゼロに近づけられるでしょうか。もっとも簡単な方法は、このホルモンを生み出す精巣(睾丸)を切除することです。しかし、他にも方法があります。
そのひとつは、女性ホルモン(エストロゲン)を投与して、男性ホルモンのはたらきを阻害するというものです。これも、精巣の除去と同じような治療効果を発揮します。しかしながら、この治療法は、男性の体が本来つくり出すべき男性ホルモンを遮断し、なおかつ体内に女性ホルモンを循環させるのですから、患者の体には一時的にさまざまな変化が起こります。
その変化には大きな個人差がありますが、一般的には、治療を始めてまもなく、腕や脚や胸の体毛が消失し、顔や体つきが女性的なふくらみをもち、ときには胸もふくらんで乳房が生じます。これらは、男性ホルモンのはたらきが失われ、同時に女性ホルモンが活動し始めたために生じる「女性化現象」です。
また、女性の更年期障害と似た異常な発汗、手のこわばりなどの他、興味深い現象として、体毛の消失と入れ代わるように、頭髪の薄い中年男性の頭部に、黒髪がふさふさと生えてくることもあります。
これらの副作用は日常生活に大きな支障のないものですが、明らかな支障が生じる典型的な副作用もあります。それは、性的欲求と勃起能力、それにオーガズム(射精)に達する能力などが失われて、インポテンス(勃起障害)になることです。
男性ホルモンは大脳にも作用して性欲を生み出しているので、これは必然的な副作用といえます。
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