80年代までのがん治療は「生きることが先決」でした。
治療の最終目標は、「いかに長く生きために治療を受けるか」つまり、たとえ排尿や排便、性機能に障害が出てしまっても、生きていればいいと考えられていました。
医者側もいかに再発させず、死亡を少なくするかということが治療の中心と考えてきました。しかし、90年代に入るころから少しずつですが、生活の質(QOL)も考えられるようになりました。
「長く生きるか」から、「どんなふうに生きるか」ということに、視点が変わったのです。患者の生き方を医師も考える時代になってきました。抗がん剤もがんを叩きのめすというよりかは、症状の軽減を目的として使わることも増えました。
また、がんの末期治療で一番苦しいのは痛みですが、病状の進行に合わせて、いろいろな鎮痛薬を処方できるようになりました。
初めはアスピリンなどの非麻薬系鎮痛剤から処方しますが、さらに痛みが激しくなると、麻薬系のモルヒネを処方します。非麻薬系鎮痛剤の中には末梢神経だけに効果が出るようつくられたものもありますが、麻薬系鎮痛剤は中枢神経に直接働き、強力な鎮痛作用を起こすものがあります。
長年、麻薬の処方は厳しく管理されていました。しかし、現在では比較的簡単に、末期がんの患者に対しては使えるようになりました。副作用は、便秘、めまい、意識の消失、脱力感がありますが、痛みからは解放されます。
昔のイメージのような、苦しい苦しいといって亡くなっていく患者さんは減ったといえるでしょう。また、諸外国では生活の質(QOL)を日本より尊重しています。それは、がん治療の中でも遣いが見られます。
たとえば、日本では現在でも、「がんを体から完全に取り除くこと」に重要性を置いています。そのためには、手術後のQOLが多少下がることは容認されるという考え方が多く見られます。
一方、殴米ではがん治療においても、よりよく生きる、つまり生活の質を高くすることを願い、予後をどのくらい長くするかは、その次と考えられているようです。
たとえば、欧米の医師は、手術中に出血の危険性があるような予防的なリンパ節の郭清という選択はしません。
また、手術後に機能障害を残す可能性があるような拡大手術は、たとえ生存期間の延長が期待できてもおこなわず、あくまでも安全で、合併症少ない手術をしています。これは、医療保険制度の遠いということからもいえます。
殴米では疾患群別先払い制度なため、同じ疾患であれば、診断がついた時点で治療に支払われる金額が決まります。診断後は、どんな治療法をとっても、支払われる金額は変わりません。
このため、治療費を高くしてしまうような手術方法、つまり合併症の危険がともなう方法は選択されないわけです。
一方、日本では診断に対してではなく、実際に治療にかかった金額が支払われるという、出来高払い制度です。よほどのことがない限り、治療行為に対しては、すべて支払いが生じるというしくみです。
しかし、今後日本も欧米のような定額式の治療制度が導入されるようになる可能性があります。合併症の危険があったりお金のかかったりする治療法は選択されなくなるでしょう。
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