薬物療法(化学療法)を考える上で最も重要な点は、効果予測因子と言われる乳がんの性質を検討することです。
針生検や切除した手術標本を基に、効果予測因子を検討します。
次に薬物療法の種類の中で、どれを行うか、どれとどれを組み合わせて行うか、あるいはどれの後にどれを行うかなど、臨床試験からのエビデンスに従って治療計画を立てます。
以前は予後因子が乳がんの治療の上で重要と考えられていましたが、最新の考え方では「効果予測因子」が最も重要になりました。
予後因子というのは、その因子によって生命の予後がよかったり悪かったり(がんが治ったりがんで亡くなったり)する要素のことです。たとえば、異型度の少ない高分化型乳がんは治りやすい予後因子です。リンパ節に転移がないことも転移があることに比べて治りやすい予後因子です。
一方、がん細胞が血管やリンパ管の中に存在する「脈管侵襲」は、専門家でなくても再発しやすい予後因子と想像できます。たとえば、ホルモン受容体はホルモン療法の効果予測因子であり、容体のない乳がんにホルモン療法は効きません。
以前からHER2(ハーツー)は乳がんの代表的ながん遺伝子で、HER2陽性乳がんは再発しやすい予後因子と見なされていました。
ところが、そのHER2を標的としたトラスツマブによる分子標的治療によって、再発するリスクを半分に減らすことができるようになりました。
以上から、HER2は今や分子標的治療のための効果予測因子であり、再発しやすい予後因子から治りやすい予後因子に変わったと言っても過言ではありません。
・・・
どうすれば、がんは治せるのか!?
標準治療(手術・抗がん剤・放射線)に耐え、代替療法も活用すれば・・・
本当にがんは治せる?
詳しくはこちらのページで