甲状腺がんの原因とリスクの高いといわれる人

甲状腺に生じるがんは女性の発症率が高く、男性の3～5倍に達します。

それでも、女性が甲状腺がんになる確率は人口10万人当たり年間8人強で、比較的めずらしいがんといえます。甲状腺がんの原因はよくわかっていませんが、2、3の疑わしい原因が指摘されています。

第1は放射線被曝に関係しており、事故などで強い放射線を浴びた、あるいは幼少期や青少年期に頭部や顔、首などに放射線治療を受けた経験です。これらの場合、10～30年後に甲状腺がんを発症することがあります。

1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故後の調査では、周辺地域の子どもに甲状腺がんが多発していることがわかりました。第2の原因は遺伝です。近親者に、内分泌腺に2つ以上の腫瘍(甲状腺髄様がんや副腎腫瘍など)を発症した人がいる場合、甲状腺髄様がんを発症する確率が高くなります。これは、10番染色体の「RET」という遺伝子に欠陥があるためで、遺伝子診断で調べることができます。

そして第3の原因は、食生活の中でヨウ素(ヨード)の摂取量が過多または過少になっている人です。日本人はヨウ素を多く含む海草をよく食べるので、甲状腺がん(乳頭がん)になる比率が高いとされています。

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