乳がんの治療は個別化の時代になり、乳がんの特徴を分子マーカーと呼ばれる遺伝子の発現(表現型)によって分類する時代になりました。
薬物療法の効果予測因子として、ホルモン感受性の有無、HER2陽性の有無はすでに実地臨床に使われている分子マーカーの評価です。そこで、ホルモン療法も効かない、トラスツマブも効かない乳がんがクローズアップされています。
「トリプルネガティブ乳がん」と言って、ER、PgR、HER2の3つ(トリプル)の効果予測因子が陰性(ネガティブ)の乳がんです。この乳がんは、がん細胞の増殖因子が増えたり、がん抑制遺伝子が変異したりしています。家族性乳がんに関連する遺伝子であるBRCA1の変異も多く見られます。
悪性度の高い乳がんであるため、シコリが急に大きくなり、再発しやすいことが知られています。BRCA1の本来の細胞での働きは、さまざまな原因で壊れかけた遺伝子を修復する作用です。
トリプルネガティブ乳がんでは、BRCA1が働かなくなっているものが多いことから、遺伝子修復を行うPARP(「パープ」と呼びます)という酵素が高くなっています。そこで、このPARPを阻害することで、がん細胞は自分の細胞を修復できなくなることから死滅します。
PARP阻害剤は、現在臨床試験が進められている分子標的治療薬です。別の分子標的治療薬として血管新生阻害剤があります。
がん細胞は自分の周りに血管をつくって増殖していきます。
ベバシズマブ(商標名「アバスチン」)は、血管新生因子を阻害する分子標的治療薬で、進行再発乳がんでの効果が報告されています。他にも、さまざまな分子標的治療薬の臨床試験が行われています。
今後はさらに個々の患者の病状にあった治療法を開発していくことが求められています。
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