ホルモン療法には、女性ホルモンのエストロゲン自体をつくらなくする方法と、ホルモン受容体(レセプター)に付いてエストロゲンが結合するのを阻止する方法がありますが、閉経前か閉経後かによってエストロゲンの産生が異なるので、使用する薬剤(エストロゲンの産生を抑える)が違ってきます。
ただし、エストロゲンの結合を阻止する、抗エストロゲン剤は、閉経の有無にかかわらず両方に使われます。一般的には、副作用としてホットフラッシュといって急にほてったり、イライラ感や抑うつなどの気分の変調、疲労感など更年期障害と似た症状が出ると思われます。
■閉経前の人に使われる薬剤
LH-RHアゴニスト製剤<ゾラデックス(ゴセレリン)、リュープリン(リュープロレリン)>
閉経前は脳の視床下部からLH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され、脳下垂体でLH-RH受容体と結びついて卵胞刺激ホルモン(FSH)をつくります。この卵胞刺激ホルモンの影響を受け、卵巣でエストロゲンがつくられますが、LH-RHアゴニスト製剤がLH-RHになりすまして受容体に貼りつき、卵胞刺激ホルモンを出さないようにします。
その結果、刺激がこなくなった卵巣では、エストロケンがつくられなくなり、乳がんの増殖を抑えることができます。4週間に1回、皮下注射を打ちます。
副作用:月経が止まります。のぼせ、イライラ、抑うつなどが起こる場合があります。
■閉経後の人に使われる薬剤
アロマターゼ阻害剤<アリミデックス(アナストロゾール)、フェマーラ(レトロゾール)など>
一方、卵巣機能が低下した閉経後の人では、乳がんの増殖を促すエストロゲンは、副腎から分泌された男性ホルモン(アンドロゲン)が脂肪細胞にある酵素アロマターゼと結合してエストロゲンをつくります。
アロマターゼ阻害剤は、アンドロゲンより先にアロマターゼと結合して、エストロゲンがつくられないように抑える作用があります。飲み薬を毎日服用します。
副作用:関節痛、骨塩量の低下などが起こる場合があります。
■閉経状況を問わずに使われる薬剤
抗エストロゲン剤<ノルバデックス(タモキシフェン)など>
この薬は、乳がんの増殖を促すエストロゲンが受容体(レセプター)と結合するのを先回りしてエストロゲン受容体と結合し、エストロゲンの産生を妨ぎます。
ホルモン受容体陽性の乳がんの発育を抑える作用があり、多くの臨床試験で乳がんの縮小効果、再発抑制効果があることが確認されています。飲み薬を毎日服用します。
副作用:子宮体がんになる確率が高くなります。ノルバデックスを内服している場合は、子宮がん健診の際には、頸がんだけではなく、体がんも健診していただくとよいでしょう。
抗工ストロゲン剤<フェアストン(卜レミフェン)>
再発時には3倍量まで内服できます。
プロゲステロン(黄体ホルモン)剤<ヒスロンH(メドロキシプロケステロン)、プロゲストン(プロゲステロン)など>
脳下垂体・副腎・性腺系への抑制効果、および抗エストロゲン作用などにより、がん細胞を抑制します。他のホルモン療法が無効の場合に用います。
副作用:体重増加、肥満、血栓症などがあります。食欲増進という副作用を逆に利用して、抗がん剤で食欲がないときに用いることもあります。
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