がん患者が感じている病気や治療に伴う痛みは、かつてはやむを得ないものと思われていました。
しかし、1986年、WHO(世界保健機関)が「がん患者の痛みは治療できる症状であり、治療すべき症状である」と定義づけてから、痛みも治療によって取り除くべきだという考えが世界共通になりました。
その後も、WHOは2002年に「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな(霊的な・魂の)問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、QOL(生命の質、生活の質)を改善するためのアプローチである」と定義しています。
現在の緩和ケア治療の目的は、がん患者さんが感じる病気からくる痛み、術後に感じるつらさや副作用など体に感じる痛みに加えて、治療中や退院後に感じる再発の不安感、さまざまな心の不安感などを取り除くことです。
体に感じる痛みは、鎮痛剤(モルヒネを中心としたオピオイド、非オピオイド)などの使用が中心となります。鎮痛剤を使うと中毒になるのではないか、と不安を感じる方もいるかもしれませんが、痛みを止める目的で使うだけならば中毒性や体を悪くすることはありません。このことは医師からも説明を受けるはずです。
注意したいのは、薬(鎮痛剤)の飲み方です。鎮痛効果が途切れないように、医師の指示通りに薬を飲むことが必要です。副作用を感じたり、効き目を実感できないからといって勝手に服用をやめたり、回数や量を守らなかったりすると効果がなくなってしまいます。
飲み忘れのないように、薬を飲む日時をメモして、家族にも知っておいてもらいましょう。精神面についても、緩和ケアの対象になります。患者さんはそれぞれ異なる年齢と立場であり、異なる背景の中で暮らしています。抱えている問題や心配事なども異なります。
不安感をつのらせて放っておくと、うつ状態になる場合もありますので、不安な状態が続いているときは主治医に相談してみましょう。
■緩和ケアを受けられるところ
緩和ケアは、現在入院している病院に緩和ケア病棟や緩和ケアチームがあればそこで対応してもらえますが、ない場合は、主治医に紹介状を書いてもらって、入院、外来受診します。
在宅でも、緩和ケアを受けることができるので、希望する方は、主治医や相談支援センターに聞いたり、インターネットなどで探してみましょう。
<病院で受ける場合>
・「緩和ケア病棟のある病院」へ入院する
がんの進行に伴うつらい症状や精神的な苦痛があって、がんを治すことを目標にした治療(抗がん剤、ホルモン療法、放射線療法あるいは手術による治療)の適応がない、あるいはこれらのがん治療を希望しない方を、主な対象としている。http://ganjoho.ncc.go.jp/pub/hosp_info/index_02.html
・「緩和ケアチームのある病院」で治療を受ける
各専門分野の医師や看護師、医療関係者がチームを組んで、入院療養中に生じるさまざまながんの痛みや不安を解決する。患者さんの、がん療養中の体の症状や精神的な面まで、医学的治療の面、がん療養全般の問題について対応。緩和ケア受診の希望者は、主治医、看護師に伝えて「緩和ケアチーム依頼状」を書いてもらう。
・外来で受診する
「緩和ケア外来」、また「痛み」を診療する「ペインクリ二ック」などで、痛みの緩和ケアが受けられる。
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