乳房温存療法には、2つの方法があります。
1つは、「乳房円状部分切除術」です。これはがんの周囲に1.5～2cmぐらいの安全域をとって丸く切除する方法です。切除する部分が少なくてすむので、乳房の小さい人にも行えます。
ただし、がんを取り残す可能性もやや大きくなります。
もう1つは「乳房扇状部分切除術」です。こちらは、文字通り乳頭を要に扇形に乳腺組織を切除します。切除する範囲が広いので、がんを取り残す心配は少ないのですが、乳房の変形が大きくなるのが難点です。
いずれの場合も、がんの切除で欠けた部分は周囲の脂肪や乳腺組織をずらして形を整えます。リンパ節転移が疑われる場合は、センチネルリンパ節生検を行い、転移があればリンパ節を郭清(切除)します。
最初からリンパ節転移が明らかな場合は、もちろんリンパ節の郭清を行います。さらに、乳房温存療法で非常に重要なのは、「断端検査」です。断端というのは、切除した組織の切り口のことです。
ここを検査して、がん細胞がないことを確認することが再発を防ぐ第一歩だといえます。
組織を顕微鏡で調べて、万が一、断端にがん細胞が見つかれば、残った乳房にもがん細胞が残っている可能性が極めて高くなります。がん細胞が残れば再発のリスクが高まります。そこで、こうした場合は再度手術を行い断端にがん細胞が残っていないことを確認します。
取り切れない場合は、乳房切除術に変更することもあります。
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