乳がんの治療薬の進歩はめざましく、欧米では、死亡率の低下や再発後の5年生存率の向上など、治療成績の向上に関する報告が相次いでいます。
一方、トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)などの分子標的治療薬や新規化学療法剤の開発費は膨大であり、高額な薬剤費は医療費の高騰に拍車をかける要因となりつつあります。
そこで、個々の再発リストを把握し、治療開始前に効果を予測することが可能であれば、適切な患者にのみ投与し、無駄な投薬が減らせるのではないかということで、各種の治療効果を予測する検査法が開発されています。
例えば、アメリカで開発されたオンコタイプDxは、ホルモン感受性陽性かつリンパ節転移のない乳がんの手術で摘出した組織から21の遺伝子の発現レベルを測定し、1O年以内の再発の可能性がどの程度の確率であるのかを推測します。
具体的には、再発に関与するといわれている遺伝子の発現パターンから、再発リスクをスコア化(O~1OO点)し、化学療法の上乗せ効果がある高リスク群(32点以上)を特定します。逆に、低リスク群(18点未満)では、化学療法の上乗せ効果はなく、ホルモン療法のみでよいとします。
現在、中間リスク群に対しては、化学療法の上乗せ効果の有無を検証するための大規模臨床試験が行われています。また、オランダで開発されたマンマプリントは、摘出した乳がん組織の70遺伝子の発現状況から、従来の基準より精度が高く、高リスク群と低リスク群に分けることができます。
ちなみに、高リスク群を85%から6O%に減らすことが可能で、不要な化学療法の投与を減らし、副作用の少ないホルモン療法などですみ、高額な薬剤費負担を減らし、高いQOLを維持することが可能となります。
この方法は、2OO7年2月に同分野の診断法として、初めてアメリカFDA(日本の厚生労働省に相当)の認可を受けました。個々の検査法は遺伝子レベルでの解析を必要とするため高額(アメリカでは、3000~4000ドル)ですが、低リスクであることが判明した場合は、薬物療法は不要となります。
薬剤費はもとより、通院の手間や医療用かつらも含む副作用対策などもいっさい不要となります。逆に、高リスクと評価された場合でも、個々の薬剤に対する治療効果が十分期待できるということで、治療の成果に期待が膨らんでいます。
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