ごく小さい初期のがんであれば、マンモトーム生検で組織を取ったり、術前化学療法だけでがんが消えてしまうこともあります。
また、乳房温存療法の成功によって、乳がんに対する考え方も変わってきました。乳房温存療法は、乳房のがんを残さず切除し、放射線を照射すれば、乳房切除術と治療成績は変わらないことを証明しました。
それならば、乳房のがんがどこまで広がっているかを正確に把握し、何らかの方法で完全に殺すことができれば、乳房温存療法と同じではないか。あえてメスを入れなくてもいいのではないか、という考えが生まれたのです。
こうした流れの中で、ラジオ波焼灼療法、凍結療法、収束超音波療法という手術以外の方法でがんを殺す方法が注目されてきました。手術をしなくてすむだけではなく、日帰りも可能な治療法です。
実現すれば、乳がんに対する考え方まで変わるのではないかと思われます。2OO8年版の乳がん診療ガイドライン(日本乳癌学会)では、まだこうした治療が乳房温存療法の代わりになるという十分な科学的証明はないので、臨床試験として行うべきだと評価しています。
簡単にいえば、まだ実験的治療法で、研究を重ねる必要があるという意味です。しかし、ガイドラインで評価が行われたということは、逆にいえば、多くの専門家が注目し、期待しているという意味でもあります。
事実、アメリカでも新たな乳がん治療法として研究が進んでいます。手術で取らなくても、ラジオ波や凍結、収束超音波で、がん細胞を完全に死滅させることができることを画像診断や針生検などの検査で証明できれば、こうした治療は新しい乳がんの治療法になると期待されています。
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