ミネラルとは、細胞間の情報伝達や酸素の運搬、骨の形成など、さまざまな生命現象の営みを支える元素のことで、ほかの物質とは結合せずに単体で酵素のなかに組み込まれています。
ミネラルは、必要量に応じて主要ミネラル(1日100グラム以上)と微量ミネラル(1日100グラム以下)に分類されており、前者にはカルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、ナトリウム、鉄、イオウなどが、また後者には亜鉛、ヨウ素、銅、マンガン、コバルト、フッ素、クロム、カドミウム、セレン、モリブデンなどがあります。
これらのなかでも微量ミネラルは、栄養学の飛躍的な進歩に伴ってさまざまな薬理作用が認められ、その重要性に関心が集まっています。とくにがん予防の立場から、世界中の注目の的となっているのがセレンです。
セレンはもともと土壌中に含まれ、穀類や野菜などに吸収されます。つまりそれらを食べることで人間の体内にとり込まれますが、セレンを多く含む飼料で育った牛や豚、鶏などを食べることでも摂取できます。
含有量としてはゴマが圧倒的に多く、一般に10グラム当たり53マイクログラムも含まれています。そのほか、未精製の穀類や豆類、野菜ならブロッコリーやタマネギ、ニンニク、キノコ類、さらにカキやハマグリなどの貝類にも多く含まれています。
このセレンは、体内で活性酸素を無毒化する酵素、グルタチオンペルオキシターゼの主要成分になっています。グルタチオンペルオキシターゼは、全身のあらゆる細胞内に存在し、猛毒のヒドラキシラジカル、スーパーオキシ―ド、過酸化水素などを酸素と水に分解するほか、消化管内で食物から吸収する過酸化物を分解する役目なども行っています。
体内に充分なセレンがあれば、グルタチオンペルオキシターゼは次々と作られ、活性酸素を無害なものに変えることができます。逆にセレンの摂取量が不足すると、グルタチオンペルオキシターゼが充分に作られないために、遺伝子の突然変異が起こりやすくなって、がん化を招くようになるのです。
実際に、土壌中のセレンの含有量が少ない地域ほどがんの発生率が高いということは40年ほど前から注目されていました。アメリカと中国の共同研究チームがこの地方の土壌中のセレン濃度を調べたところ、ほかの地域に比べて極端に少なかったことが判明しました。
そのほか、乳がんや大腸がんの発生にも、セレン不足が密接に関わっていることが数多く報告されています。
それでは、いったい1日にどれくらいの量をとるのが望ましいのでしょうか。研究では、1日50マイクログラムのセレンをβ-カロチンとビタミンEとの組み合わせで投与した結果、がんの予防効果が確認されました。日本ではセレンの必要量は明確にされていませんが、アメリカでは50~200マイクログラムが成人1日あたりの必要量とされています。
ただし、セレンは必須元素であると同時に、大量にとり続けると体に害を及ぼすこともわかっています。中国では、欠乏症の例とともに過剰症の例も明らかにされており、動物実験でも5ppm以上では毒性を示すことが知られています。
とはいえ、普通の食生活のなかでゴマや未精製の穀類、豆類を積極的にとり入れ、なおかつ野菜を多めに食べる程度なら、過剰症の心配はありません。
むしろ、現代人に目立つ外食中心の食生活では不足しがちになりますので、植物性食品から毎日しっかり補うことを心がけるほうがよいでしょう。一方、ヨウ素はコンブやワカメなどの海藻に多く含まれ、体内では主に甲状腺ホルモンの材料になっています。1日に必要とされる量は約0.2ミリグラム。日本人は海藻を比較的多くとっているので、欠乏症の心配はないと思われています。
しかし、海藻を食べる習慣のない国や地域では、ヨウ素欠乏によって甲状腺がんや乳がん、卵巣がんなどが多発したという事実が明らかになっています。そこで国によっては、ヨウ素を強化した食卓塩などが市販されているようです。
さらに、酸素を運搬するヘモグロビン(赤血球)の材料となる鉄も、不足すると胃がんや食道がんの原因になることが報告されています。日本人の鉄の摂取量は、カルシウムとともに必要量に達していないことが指摘されていますので、緑黄色野菜や穀類、レバーなど鉄の豊富な食品を積極的に補うことが大切です。
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