内視鏡は、自由自在に曲がり、細い血管の奥にさえ到達する極細のファイバースコープを使います。
体にあいたどんな小さな穴からでも、体内にスルスルと進入するばかりではなく穴がなければメスで小さな穴をあけ、そこから挿入した内視鏡で、がんの外科手術まで行うという技術の進歩を見せています。
がんの治療では、いまなお、外科手術による病巣の摘出がもっとも主要な選択肢となっています。しかし、手術は患者の体と精神に大きなストレスを与え、がん治療を辛く厳しいものにしてきました。また、メスを使う大規模な手術では、一般に、がん病巣以外の健康な組織も大きく切除します。
そのため、がんの治療には成功しても、その後の"生活の質(QOL)"を、しばしば大きく低下させるという問題もついてまわります。しかし最近では、内視鏡に、肉眼で見るための光学センサーの機能だけではなく、超音波で患部の状態を調べるセンサー、感圧センサー、さらには電気や-レーザーで患部を焼いたり、物理的に患部を締め上げて切除する装置まで、多様な機能をつけ加えることができます。
これらを用いることにより、現在では、体に外部からメスを入れることなく、がんの病巣だけを診断し、かつ切除することが可能になっています。とくに内視鏡を入れやすい臓器、肺、食道、胃、大腸などにできた初期のがんに対しては、いまではむしろ内視鏡による切除が主流となり、手術の成績も、執刀医が熟練していれば、メスによる手術と比べて遜色がないとされています。
内視鏡手術そのものは数十分で終了します。通常の手術なら全身麻酔が常識ですが、この内視鏡手術を受ける患者は、局部麻酔を受けるだけです。当然ながら、入院日数も非常に短くなります。そのため、患者が受ける苦痛や肉体的・心理的負担は、メスによる開胸手術とは比べものになりません。
内視鏡手術は、いわゆる"ピンポイント治療"、すなわち局部的な小さながんだけを切除する方法です。したがって、どんな臓器も、手術後にそっくり残されます。これは、かつての手術のように、食道や胃の大半を取り除く方法とは大きく異なります。
それだけに、手術のしかたによっては、同じ臓器の別の場所にがんが再発する可能性も高くなります。また、これはおもに医師や病院側の問題ですが、内視鏡手術はいまだ普及途上の技術であり、熟練した専門医はそれほど多くありません。
過去には日本でも、内視鏡手術の経験のない医師らが、説明書を読みながら前立腺がんの手術を試みて大量出血を起こし、止血に失敗して患者が死亡するという事故が発生しました。しかし今後も、内視鏡はますます小型化・高性能化し、手術法も進歩すると見られます。
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