「臨床試験」とは、新しい医学的な研究、つまり開発中の新薬や治療法の効果を、人間を対象にして試すことです。
これは、医学の進歩、あるいはがん克服に向けた人類的な努力の中で重要な研究過程だといえます。現在の臨床試験は、・それを希望する人の人権を最優先し、・そこで用いられる新しい方法の有効性と安全性が、すでに一般に用いられている治療法(標準的治療)に劣らないことを証明する、という前提のもとで、はじめて実行されます。
臨床試験では、開発の最終段階にさしかかっている新薬や新しい治療法を希望者(患者)に対して試験的に用います。それの新薬や治療法は、すでに研究室レベルの試験や動物実験をすませ、その段階での効果や安全性が確かめられているものです。
しかし、それらが人間の病気の治療を目的としている以上、最終的には人間自身によって十分に試されなくてはなりません。この試験を通過しない薬や治療法は、いかにその効能がすぐれていても、一般の医療機関で用いることは許されません。
がん医学の分野だけでも、つねに数かぎりない実験研究が行われており、それらのうち、実用化を目前にしたものだけが、臨床試験のリストに絞ります。しかし、それらを開発している企業や研究機関が、いつでもかってに臨床試験を行えるわけではありません。
臨床試験には国際的な統一基準がある他、わが国のがん医学については、厚生労働省が予算を支出し、国立がんセンターが中心となって組織する「日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)」がガイドラインをつくっており、多くは、これに沿って実施されます。
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