がんはただ1個の細胞から始まります。
その1個のがん細胞は発生した場所で分裂をくり返してしだいに大きくなり、さらには他の組織や臓器に転移して広がり、ついにはいくつかの臓協の正常なはたらきをさまたげるようになります。
がんを治療するには、初期の段階なら、まず手術で取り除くことが考えられます。しかしその段階のがんはまだ細胞レベルの大きさ(1個の細胞は分裂を20回くり返すと100万個になる)なので、見つけ出すことさえ困難です。
精管検査で検出可能な5ミリの大きさの腫瘍は、すでに1億個のがん細胞からできているといわれています。また、すでに転移が始まっていれば、手術ではすべてのがん細胞を除去することはできず、がんは再発することになります。
同じことは放射線治療についてもいえます。すでに放射線を照射する範囲外に広がっているがん細胞は、照射を免れることになります。こうした局所の治療では対抗しきれず、ついにはがんが全身に広がることが少なくありません。
このようなときには、全身に目を向けて、細胞レベルの治療を行う必要があります。そこで、細胞というミクロの世界を舞台にし、がん細胞に直接作用する抗がん剤(ホルモン剤を含む)を主役とする「化学療法」が行われるのです。
最近では、遺伝子レベルでがん細胞の性質の解明が進んだ結果、まったく新しいメカニズムの抗がん剤が開発されたり、既存の抗がん剤でも投与スケジュールを工夫することによってより高い治療効果をあげられるようになりました。さらに抗がん剤の投与にともなう副作用に対しても、種々の「支持療法」(副作用を取り除き、患者の正常な身体機能を維持・回復させようとする治療)が著しく進歩しています。
こうしていまでは、急性白血病や悪性リンパ腫など数種類のがんでは、たとえがんが全身に転移した状態でも治癒を期待できるまでになってきました。一方、抗がん剤の利用目的も多様化しています。たとえば外科手術によってがんを切除したときにがん細胞がわずかでも残ると、そこから再発するおそれがあります。
しかし現在では、このような残存するがんに対しては、手術後に抗がん剤を投与する方法(補助療法)がごく一般的になりました。さらに、たとえ治癒が望めなくても、苦痛をより少なくするなど"生活の質"を改善するとともにより長く生きられる治療を目指す場合、抗がん剤の果たす役割は決して小さくはありません。
近年、「過去の多くの治療成績を踏まえ、それらにさらに解析を加えることによって、より科学的で真の意味ですぐれた医療を創設しよう」という考え方が提唱され、実践されつつあります。
・・・
どうすれば、がんは治せるのか!?
標準治療(手術・抗がん剤・放射線)に耐え、代替療法も活用すれば・・・
本当にがんは治せる?
詳しくはこちらのページで